2019年の秋頃からチマチマと直していたOM-1。さすがに昔の部品や電池は手に入らない物が多く、本来の性能を正確に発揮できる状態ではない中何とかかつてのこのカメラとして綺麗な写真が撮れるようになりました。
特に苦労したのが露出計です。なにせ昔の電池と電圧とか微妙に違うでしょうから、そのせいで露出計の針が正しい増減感を指し示す事ができない状態にあったようで、実際の写真はかなり暗く写るという事が続きました。
今回はその辺強く意識して、『最悪ガッツリ白飛びしてもいいや!』の精神で思い切って露出計の針を強めにプラスに振って撮影に臨みました!
オールドカメラ『OLYMPUS OM-1』を手に入れた!~ファインダーや露出計の修理~ – Crop-of-Life ←このカメラを手にした直後の記事はコチラ
目次
- 40年以上前のカメラとは思えない。これが本当のOM‐1なのか
- デジイチには無いスナップの雰囲気がとても良い
- ゴースト、フレアもまた良い味になる
- 曇りの天候で撮影する
- 屋外ではどのように写るのか
- よりスナップ感を意識して
- 撮り終えてみて
- 何をとっても便利な時代に、敢えて不便を選択する意味
◆40年以上前のカメラとは思えない。これが本当のOM-1なのか
令和となった現代でもフィルムカメラの現像をしてくれる写真屋さんがあるお陰でこのカメラを使える事に感謝です。昔は現像が完了すると、そのままプリントするのがお決まりの流れでしたが、今はCDに写真をデータ化してくれるのでブログ掲載にも非常に便利です。プリントも必要に応じてできるので、ホント便利な世の中になりました。
そんなフィルムカメラ、現像するまで撮影の結果は分かりません。そのワクワク感を楽しむのも醍醐味なのですが、そもそも作動状況が本来の性能ではない状態なので『一体どうやったら綺麗に写せるのだろう…』と悩みながら撮影するのはワクワク通り越して軽くウツでしたWw。
これまでのテスト撮影の中で色々手探りしながら今回ようやく覚醒しました!。思っていた以上綺麗に撮れてむしろビックリしたくらいです!。解像度も非常によく、標準単焦点のボケ味も柔らかくて現代の高画素デジイチ機にも負けないのでは!?と、自分でもうれしくなりました。
●デジイチには無いスナップの雰囲気がとても良い
撮影データの露出は、レンズの方で絞りやシャッタースピードを調整するとそれに合わせてファインダーが捉えた光に合わせて針が指し示してくれるのですが、絞りリングをカチカチ回して3針程上に動いた所でシャッターを切りました。なので完全に雰囲気的なモノでしかない事をご留意ください。
妻が新しい靴を買ったので早速履いているところです。まだお昼前なのですが、冬場は日照角があるので雰囲気のある一枚になりました。
こんな何気ない、本当になんて事ない瞬間がこんなにも温かく切り取れるのも、『光を焼き付けるフィルムカメラ』ならではなのかも知れませんね。
水族館のそばにある空の風景。空の青さが深く、風力発電らしき風車のある風景がなんとも味がありました。
昔、それこそカメラと言ったら写ルンですの時代、何かにつけて空ばかり撮っていました。どうして空ばかり撮っていたのか自分でも特に理由は無かったのですが、当時通っていた小学校の写真クラブでも空を撮っている人は多かったです。何となく学校や社会に抑圧された少年時代、広くて自由な空に心のどこかで憧れていたのでしょうか。
レギュラータイプのカラーネガフィルムで感度100の24枚撮り。価格は税込みで730円程。恐らく一番値段が安い、使いやすいタイプのフィルムですが、こんなにも表現豊かに撮れるなんて。
午後の傾き始めた太陽が照らす横断歩道の寸景。街路樹の伸びる影がノスタルジックな一枚です。
デジイチと違って色温度の設定などはできません。自然な感じなのに午後の温かい日差しが映し出されているのは、フィルムの性能と言うよりレンズの性能だと思います。40年以上前のオールドレンズは、現代の一眼レンズのようにコーティングなどないでしょうから、それが返って自然な色合いで写しとめてくれたのだと思います。
逆行なのでシャッター速度はMAX、そこから絞りリングで露出を調整した一枚です。開放値が1.8のとても明るい単焦点レンズなので、逆行の明るさに負けずにコントラストを活かして写すにはどうすれば良いか手探りで撮りました。
●ゴースト、フレアもまた良い味になる
基本的にゴーストやフレアなどの過剰な反射の映り込みは良くないとされていますが、現代ではシチュエーションによってはむしろ写るくらいの方がエモいとされています。自分はあまり神経質に拘る方ではないので、その辺の映り込みは昔から特に気にした事が無かったです。どちらかと言うと多少あるくらいの方が格好良いと思っていたくらいでした。
ガッツリ決まるゴーストフレアですw。狙って撮りました!思っていた以上にガッツリでしたが、当日のこの西日の感じが冬の晴れ間に眩しく差し込んできて、あの日差しの強さを表現するにはこれくらいの方が伝わるのかなと思いました。
神社の一角にあるおみくじを結ぶ所。ここには沢山の人の祈りや願いが結われています。沢山の人がひっきりなしに訪れては、気持ちをここに置いてまた日常に戻っていくのです。
お宮の後ろから後光のようにフレアが写りこんでいます。これも比較的狙い通りに撮れました。この輪を回るようにくぐって無病息災を祈願するそうです。
お宮の後ろから後光が射すのは、お宮の正面が朝日が昇る方角に向けられているからです。
綺麗な写真にゴーストやフレアなどの映り込みはご法度ですし、現代のレンズはより軽減するためにレンズその物にコーティングが施されています。
ですがこうやって見ると、『表現の一つ』としてあえて狙ってみるのはとても面白かったです。オールドレンズとかならまだしも、現行のレンズ達ではその仕様上ちょっと難しいのかなと思います。こういう事ができるのも、昔のカメラならではなのかもしれませんね。
◆曇りの天候で撮影する
光が放散して晴天時よりも当たり方が柔らかくなると言われる曇天。特に冬の新潟では雪も積もっていたりするので、雪がレフ版のようになってより光が回るように思います。
そんな冬の曇天という条件でスナップしてみました。
●屋外ではどのように映るのか
雪が積もる歩道に誰も居ないベンチが万代橋を眺めていました。雪そのものはやっぱり白飛びしましたが、たたずむベンチと街路樹がちょっと異世界感を出してくれています。
もう少し飛んでしまうかなと思いましたが、これはきっと気温が低くてフィルム感度が落ちているのかな?なんて思ったりもします。その辺の科学的検証はさすがに自分では無理なのですが、一応フィルムは性能感度を発揮する平均的な条件として使用する環境の気温もパッケージに記載されています。
新潟駅南口の広場の風景。寒々しい感じが伝わってきます。景色が少々広いので絞りをやや効かせ気味で撮影しました。これだけ白が支配する絵面ですが、さすがに曇天で絞りを効かせるとかなり露光時間は長くなってしまいます。せっかくなら三脚とレリーズを使ってもっとスローで撮影すればよかったです。
●よりスナップ感を意識して
剝き出しのブレーカーと反対側の道路には最新の建築物。あっちとこっちで世界がまるで違うようでした。デジイチでも撮った事がある場所なのですが、こうやってフィルムで写し取るとまた違って見えますね。
何となく無機質なのに生活感がある光景で、ちょっと荒廃したような雰囲気も醸し出して、それをフィルムカメラで納めると尚一層雰囲気を表現できます。
そういえば昔山ほど撮った日常の記録写真とかってみんなこんな感じだったような気がします。インスタントカメラで撮るとまた少し違った感じにはなりましたが、現代の風景でもノスタルジックに感じるのはきっと『昔の写真ってこんな感じだったよね~』的な思い出補正のような、記憶色のようなものが関係しているのかも知れません。
駐輪場の風景って結構好きなんですw。街中スナップするときは、自販機、ベンチとならんで枚数撮っている気がします。帰って写真見返すと必ず一枚は入っていますw。
1.8のF値で奥行きはしっかりボケが効いています。何となく廃墟的な雰囲気があるのは、曇天で光がやんわりしているのも相まっているのでしょうか。
◆撮り終えてみて
露出計が直っていくつか試し撮りを重ねて、今回ようやくこのカメラの本来の性能を発揮できたと思います。フィルムカメラとは言え一眼レフ。写ルンですのようなインスタントカメラとは違って被写界深度が効いていたりと、このカメラが現役だった当時にこれならかなり高性能なカメラだったのではと改めて思いました。
インスタントカメラが登場したのがこのカメラよりずっと後の時代で、露出調整とか被写界深度とか細かい事を気にせず手軽に撮影ができる事が何よりの利点でした。最近もその手軽な感じと撮れ味がエモいと再びブームになっていますし、インスタントカメラはメチャクチャ面白いですよ!
そんなインスタントカメラブームの中、このOM-1のようにフィルム一眼カメラも同じように注目されつつあります。中古品の価格も少しづつではありますが、値上がりしているように思います。
●何をとっても便利な時代に、あえて不便を選択する意味
OM-1から見れば現代のカメラなんてとんでもない性能ですよ。カメラだけじゃなく家電や車も、それはもう便利過ぎて逆に使いこなすのが難しいくらいですw
そんななんでも便利になった時代に敢えてOM-1のようなカメラを使ってみると、いかに『道具に使われているのか』が分かる気がします。シャッターを切った後、筐体の背面をつい覗いてしまいます。そこに液晶は無いのに。
デジカメはストレージが許す限り何回でもチェックと撮り直しができます。ほぼ無限です。ですがフィルムはその場でのチェックもできなければ、撮り直そうにも枚数は限られていますし、フィルムの値段を考えれば一枚当たりの撮影コストもバカにできません。その不便さがあるからこそ、一枚一枚に強い想いが宿るように感じます。
便利で高性能も良いのですが、時々こうやって『原点回帰』をする事でその有難さが身に染みて理解できます。OM-1からK-1に持ち替えた時、連写ができて、撮れ高をすぐにチェックできて、いくらでも撮り直しができて…当時の人がどれだけこんなカメラの実現を願っていたのだろうと思いを馳せてしまいます。
このカメラはとても寡黙です。フォーカシングスクリーンを挟んだファインダーは、これまでどんな景色を見てきたのでしょう。とても状態の良いレンズも当時の物、このレンズが捉えた光は一体どんなものだったのでしょう。前オーナーの大切な人達も沢山見てきたでしょう。
カメラも車も白物家電も、昔の物の多くは『大切な人の為』という願いを込めて手元に置かれていた物が多いように思います。今は豊かな時代、個人の趣味の為なども多いでしょう。
ここからがこのカメラの第二の人生です。あとどれくらいの時間が残されているのかは分かりませんが、このカメラと共に自分の写真力を磨いていきたいです。
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