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2021-04-12

SMC-PENTAX35-80㎜、オールドレンズで撮る光の少ない雨桜

 先日の記事で雨の中の花見をしながら桜を撮影した記事をアップしました。その時一緒にオールドレンズを持って行ったのですが、このレンズは随分前にジャンク屋で400円で拾い買いした物で、買うだけ買って暫くほったらかしにしていました^^;。実は値段の割にカビや曇りも無く、非常に状態が良い品物でして、実際に使ってみると結構楽しいレンズでした!

思った以上に暗かった雨天の桜、それでもちゃんと綺麗に撮れたよ – Crop-of-Life (crop-of-life.jp) ←この記事に関連する

 レンズ自体は20年くらい前の標準的なキットレンズ系の物で、写りについてはイマドキの高性能レンズと比べれば当然劣りますし、ボケ味も硬い印象なのですが、コレが使ってみるとえもいわれぬ使い心地がクセになりそうな一品だったんです。

 昔は35㎜フィルムカメラのキットレンズだったらしいですが、一週回ってむしろ良い!って所でしょうか^^。

◆オールドレンズは描写力より表現力だった◆

 オールドレンズには独特の写り方と言うか、ちょっと変わった雰囲気で撮れる事が多いんですよね。一番多いのは、バリピンなのに不鮮明な事でしょうか。これは経年劣化でレンズのコーティングの効果が低下したり、そもそもそんなコーティング自体無かったり、レンズそのものの透過性能がそこまで高くない素材や仕上がりだったりと事情は様々です。

 今となってはむしろそれが味ですね^^。

F5.6 SS1/500 ISO-200 0EV 80㎜ PENTAX.K-1 SMC-PENTAX35-80㎜

 ボヤっと霞むような感じが残りますが、雨の中水たまりに浮かぶ花びら達の在り方を伝えているようで、鮮明に映らない方が気持ちが伝わるのかなと思える一枚になりました。それでも拡大して見ると、意外と線は撮れていて、ちゃんと写したい物を写せるんだなと思いました(そりゃ当然かw)。

F5.6 SS1/200 ISO-200 0EV 80㎜ PENTAX.K-1 SMC-PENTAX35-80㎜

 花びら散る木の元にタンポポが咲いていました。いや…ノゲシとかかな?詳しい事はごめんなさい^^;。花の真上から撮影したのですが、さほど離れていない地面もちゃんとボケが効いています。ここはいつの時代も光学レンズの強みですね。レンズキットでカメラを購入しても、すぐにボケを効かせた写真が撮れるのは一眼レフの醍醐味でした。

F5.6 SS1/250 ISO-200 -0.7EV PENTAX.K-1 SMC-PENTAX35-80㎜

 信濃川に咲いていたチューリップ、背景に散る桜の花びらが印象的ですが、ボケが結構硬いですね^^;。初心者の方なんかはこの『ボケが硬い』とか『ボケが柔らかい』ってなんのこっちゃよく分からんという事もあるでしょう。ご覧ください、コレがボケが硬い写真ですw。背景にある物の形が結構分かります。

 色に関しては何でしょう?、仕上がりイメージはオートにしているのですが、自分が使っているRAW展開ソフトでは、PENTAXがオリジナルで仕上げるイメージを引っぺがしてしまうので、レンズその物の性能としてこんな色の出方をするのかもしれません。

 原因は簡単です、レンズの前玉がとても小さいのです。パイ数にして49㎜、レンズの前玉その物は直径3㎝しかありません。ボケが柔らかい写真が撮れるレンズは、この前玉が大きなレンズが殆どです。光学的な詳しい話はよく分からんので割愛しますが、ポトレなんかでボケが柔らかい写真が撮りたいと考えた時は、ズームや単焦点かと合わせて、どれくらい前玉が大きなレンズか見ると良いと思います^^。

◆背景をボカしまくってみる◆

 標準ズームとは言え、結構ボケが効くようなのでむやみやたらにボカしながら撮影してみた^^。

F5.6 SS1/640 ISO-200 0EV 80㎜ PENTAX.K-1 SMC-PENTAX35-80㎜

 水辺に手を伸ばすように垂れた枝の向こうに、白山公園の背景が広がる。これだけ広い背景でもちゃんとボカしきれています。背景にある木々の輪郭が結構残っているので、奥行きのある背景はこんな感じの仕上がりになりますね。

F8 SS1/125 ISO-200 0EV 80㎜ PENTAX.K-1 SMC-PENTAX35-80㎜

 上から覗き込むように撮る。被写体に目いっぱい近寄ると、背景のボケ具合が柔らかくなりますね。このレンズを使うと色味が大胆になるのも相まって、良い感じの一枚になりました。本体がフルサイズセンサーのデジカメなのでオールドレンズらしさを出しきれていないかも知れませんが、時を超えて今でもこれだけ写せるレンズという事に感動です^^。

●寄り方ひとつで変わる表現

F8 SS1/160 ISO-200 -0.7EV 80㎜ PENTAX.K-1 SMC-PENTAX35-80㎜

 雨も本降りになって、すっかり暗くなった白山公園、水も滴る良い桜です。このレンズのこの感じ、むしろこのシチュエーションの方が良さを引き出せるのでは?^^。雨に打たれて冷たい風が吹くこの空気感を、濡れた花びらに寄りきって、少し頼りない写りの絵に、色温度に頼らず伝える事ができていると思います。

 結構寄りで撮っているように見えますが、そこは昔のレンズ。実はイマドキのレンズと違って最短焦点距離が結構遠いのです。このレンズだと40㎝くらいかな?寄りきれない時はトリミング対応ですね。

◆オールドレンズの撮り心地は抜群だった◆

F5.6 SS1/400 ISO-200 0EV 80㎜ PENTAX.K-1 SMC-PENTAX35-80㎜

 信濃川には桜と県花チューリップの共演が見れる。去年はとても天気が良かったので非常に残念なシチュエーションに見えるのですが、今回はオールドレンズと言う一味違った遊び方をしているので気分的には楽しいです^^。遥かに霞む県庁舎が、より新潟らしさを引き出してくれています(たぶん)。

●軽いレンズなのでスナップ的な使い心地も良い

F5.6 SS1/125 ISO-200 -0.7EV 80㎜ PENTAX.K-1 SMC-PENTAX35-80㎜

 このオブジェについて詳細は分かりかねますが、白山公園から信濃川に向かって降りると歩道沿いに二体あります。インパクト大なこのオブジェ、やはり無言のメッセージが一番思いを伝えるのですね。

F5.6 SS1/500 ISO-200 -0.3EV 60㎜ PENTAX.K-1 SMC-PENTAX35-80㎜

 天空の回廊からは、車道沿いに咲き乱れる桜を上から見下ろす事ができます。上から俯瞰するように見る景色って、ちょっとアニメ的と言うか、反射的にシャッターを切った時が一番良い絵が撮れる気がします。普段人間の目線としては無いものなので、あまりアレコレ考えず気持ちのままに撮るのが良いと思いました^^。

◆綺麗に撮るだけがのうじゃないだろう◆

 どこかの歌詞に載っていた印象的な言い回しです。オールドレンズはそれを凄く教えてくれました。ぶっちゃけ今のSNSの時代、『綺麗に撮らなきゃダメ!』的な部分は少なからずあると思っています。その方が見てくれる人が多いでしょうから。

 でもこのレンズで撮っていると、今と比べりゃ不便だったけど、当時はそれでも良かったという時代があった事を知れます。『あるだけで良かった』のです。写真を撮るのだって今でこそお手軽に何千枚も撮れますが、20年前は37枚撮るのだって慎重に選びながら撮っていましたからw。

 光も無い、花も散る、バえる写りじゃない、そんな写真に向かないシチュエーションにオールドレンズのSMC-PENTAX35-80㎜は、時を超えて大切な事を伝えてくれた気がしました。

F8 SS1/125 ISO-200 -1EV 68㎜ PENTAX.K-1 SMC-PENTAX35-80㎜

白山公園

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