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2021-04-05

仕上がりイメージは加工?GR3で『クロスプロセス』雰囲気系スナップを色調で撮り比べる

 昨年の今ぐらいに購入してからメチャクチャ愛用しているRicohGRⅢ。コンパクトデジカメでありながらセンサーサイズは一眼レフ並みのAPS-C。F2.8の明るいレンズでボケ味も綺麗でありながら、マクロモードも使えて非常に万能なコンデジです^^。

 そんなGR3にはスタンダードを含めて11種類の仕上がりイメージが選択でき、シチュエーションや気分に合わせてその時自分が感じた世界観を見える化して伝える事ができる魅力があります。その中でも自分は『クロスプロセス』というモードをよく使います。クロスプロセスとは、フィルムカメラで使用するフィルムの種類と現像方法の事を指していますが、デジカメではデジタル処理によってそのような見た目の仕上がりになるという事になります。高いコントラストと独特の色調でノスタルジックな雰囲気に仕上がります^^

 GR3のクロスプロセスでは、写真全体に被ってくる色調という仕上がりをブルー、マゼンタ、イエローの三種類の色から設定できます。それぞれに味があって、同じ景色でも自分の心の色を表現するのにとても良いと思います。今回はこの色調を変えながら、クロスプロセスで仕上げたGR3のスナップ写真を見ていただきたいと思います。

◆B、M、Y、表現を撮り比べる◆

F5.6 SS1/1250 ISO-200 +0.3EV RicohGRⅢ クロスプロセス 色調ブルー

 これが色調Bです。この色調は最初から設定されている、いわばGR3のクロスプロセスの基準となる色調です。自分はこの色調を一番使います。昔撮った写真みたいにノスタルジックな雰囲気に仕上がっていますね。

F5.6 SS1/1600 ISO-200 0EV RicohGRⅢ クロスプロセス 色調マゼンタ

 こちらが色調Mの仕上がりです。より焼き付き感が出て、夕焼けのポートレートなんかはかなりカッコよく撮れるんじゃないでしょうか!?。自分はポトレの機会が無いので試す事ができないのが残念ですがw^^;。

F5.6 SS1/1600 ISO-200 0EV RicohGRⅢ クロスプロセス 色調イエロー

 色調イエローの仕上がりです。こちらはプリントした写真が経年劣化で色合いが変わったような雰囲気ですね。押入の奥でアルバムなどに閉じずにしまっておいた、剥き出しの思い出の経過した時間を表しているように感じます。

●自分がよく写真を撮るシチュエーションに合わせられる

 サクッと三つ並べて比べてみましたが、自分が一番使うブルーは風景写真によく合うように思いますね。だから自分はブルーが一番しっくりくるのかも知れません。

 試した事は無いのですが、マゼンタはやはりポートレートが一番合うように感じます。ポトレを中心に写真を撮っておられる方のブログなんかを拝見させて頂くと、この感じに近い仕上がりで撮影されておられる方が多いように感じました。

 イエローは人が居る街中の何気ない風景にマッチすると思います。ポトレというよりはスナップ写真ですね。仲間同士で街角でワイワイ集まっている風景とか、商店街なんかの人通りがそこそこの風景とか。マゼンタが敢えて狙うのに対し、イエローはほんとパッと感じたら撮る引きの景色に合うと思います^^。

 自分がどのシチュエーションでよく写真を撮っているかを考慮すると、これだけで表現の幅が一つ広がると思います。こうやって改めて撮り比べてみると、自分はホント風景写真しか撮ってないんだな~…なんて思ったりなんかしてw。以上の考察を持って色調を切り替えながら、ブラブラ散歩してスナップを撮り歩いてみようと思います^^

◆スナップ写真をより楽しくしてくれる◆

F5.6 SS1/800 ISO-100 -1EV RicohGRⅢ クロスプロセス 色調イエロー

 万代橋の下、歩道に打ち捨てられたように立てかけられた折り畳み自転車。ちゃんと持ち主は居るのだろうか?。なんだか少し寂しい感じがしたこの風景をイエローで切り取ってみた。黄ばみがかった色合いに持ち主を待つ自転車の『時間』が伝わってくるようだった。

F5.6 SS1/640 ISO-200 0EV RicohGRⅢ クロスプロセス 色調ブルー

 古町の商店街の中心部の風景。構図だとか、光の当たり方だとか、そういうの一切気にしないで衝動的に撮った一枚。インスタントカメラが主流だった時代、殆どの写真がそんな風に衝動的に撮った一枚だった事を思いだした。どんな風に撮ったかその場で確かめられる今の時代だと本来なら不採用となる一枚。それでもなんとなく良いと感じたのは、この仕上がりイメージを通してみたこの風景が、写真が貴重だった頃によく撮っていた雰囲気になんか似てると思ったんです。

F5 SS1/400 ISO-200 +0.3EV RicohGRⅢ クロスプロセス 色調マゼンタ

 白山公園の遊歩道から道路を見下ろして撮った一枚。黄色の破線と水色の路側帯が珍しくて、更に大きな木の陰が車道を覆っていて、眩しい陽光に照らされたこの風景が90年代に見た某バスケアニメのエンディングムービーのようで、自分としては非常に満足な一枚です^^。贅沢を言うならここで誰か歩いていてくれたら良かったのになw。

●『影』映える

F5.6 SS1/640 ISO-100 0EV RicohGRⅢ クロスプロセス 色調ブルー

 この仕上がりイメージは元々コントラストが強めなので、こんな風に撮ると影も印象的に切り取れます。特に太陽に角度があるような時間帯では、伸びやかな影を強くて柔らかい陰影で表現できます。

F5 SS1/400 ISO-100 0EV RicohGRⅢ クロスプロセス 色調イエロー

 

 影のある風景の向こうに道行く人の姿、偶然人が通りかかって味のある一枚になりました。高画質ではあるのですが、どこか不明瞭な雰囲気を漂わせて想像力を掻き立てるよう。どこへ行ったのだろう、このあとどれくらいこの道を人が通ったのだろう、今となってはこれも過去の風景。ノスタルジックな一枚でした。

●スナップらしく瞬撮も

F7.1 SS1/3200 ISO-200 0EV RicohGRⅢ クロスプロセス 色調ブルー

 柳都大橋を渡っていると、頭の上を沢山のハトが低空飛行で飛び回っていた。あっちへ行ったりこっちへ来たり、せわしない平和の象徴達。

F7.1 SS1/3200 ISO-200 0EV RicohGRⅢ クロスプロセス 色調ブルー

 雲一つない空を自由に飛ぶ鳥達、光の中で風そのものになっていた。片方の翼を失った自分にとってこの風景がとても心に刺さる。特別な一枚になった。

◆仕上がりイメージはなんの為にある?◆

 仕上がりイメージに対して、『これは加工写真なのであまり好きじゃない』という話も方々から結構聞きます。勿論、写真に対する考え方は自由なのですから、当然のようにその考えも尊重されるべきなのです。そしてデジタルである以上仕上がりイメージは加工である事に間違いはないと自分は思います。

 ではなんの為の仕上がりイメージなのか、それは写真を楽しむためです。それがモノクロでも、銀残しでも、クロスプロセスでも良いんです。いつもの風景でも、コレを一つ変えただけでなんとなく気分も楽しくなりますし、楽しく撮った写真には撮り手のその気持ちがちゃんと乗ってきます。すると見た人の受け取り方もやっぱり変わってくるんです。

 仕上がりイメージを使わない方も同じです。加工などに頼らず真剣に切り取るからこそ伝わってくるものがあります。撮った写真をその場で確認できるデジカメの時代、モニターで確認した時の『ヨシ!』や『いまいちだな…』は、仕上がりイメージを使っても使わなくても同じです。なのでこの記事を見て、『たまには変わった事してみようかな?』と、思って頂けたら幸いです^^。

F5.6 SS1/1000 ISO-100 0EV RicohGRⅢ クロスプロセス 色調ブルー

新潟市中央区

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