子供の頃から海と山に慣れ親しんで生きてきた自分は、三十路を過ぎた今一層山のフトコロの深い所まで行き、自然の恵みと生命力を頂く暮らしをしています^^。自分の中では一生この感覚を失いたくないと心から思っています。
そんな自分の人生の中でも大切な春のイベント、山菜採り。今年も無事に沢山の山菜に恵まれました。その中でも好きな山菜が『ゼンマイ』です。子供の頃暮らしていた集落では、春になると祖母が採ってきては干したり揉んだり、また干したり。ムシロに並べられたゼンマイからはまるで海草のような強い香りが漂ってきて、あの頃の感覚を完全に再現できる自分に、『大切なもの失わなくて良かった』と心底思います。
今回はそんなゼンマイ採りを、Daiの目線でお送りしたいと思います^^。記事内にはYouTubeに保管した動画もリンクしています。動画では収穫の様子から、天日干しして乾燥させ、長期保存が効くようにするまでを収めました。動画撮影に慣れていないので少々見苦しいですが、良かったらご覧くださいw^^;。
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◆良いゼンマイが採れるのは山の深い所◆
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ゼンマイはシダ植物の一種で、コゴミやワラビと同じ仲間です。乾燥したゼンマイは昔から和食で親しまれていて、コンニャクや里芋などと一緒に煮物にするととても美味しいですし、良質な食物繊維も摂れます。自分は煮物に牛肉を入れるのが一番好きです^^。
そんなゼンマイが採れる所は主に山の深い所になります。山の麓の里場でもヤマドリゼンマイと言う近縁種が沢山採れたりしますし、海岸沿いや沼地でもたまに見かける事もありますが、太くて良いゼンマイはやはり山の深い所、綺麗な水が流れるエリアによく発生しています。
●ゼンマイが発生している様子
山頂を目指すいつもの登山と違ってひたすらに奥へと突き進むのですが、時たま道なき道も行くので冒険感が出てコレはコレで面白いです。
早速見つけました。山菜はタイミングが命なのですが、この様子だと収穫としてはかなりギリギリのラインです。手で柔らかい所を探りながらポキっと折って収穫します。日当たりが良い所ですと、お日様を沢山浴びてすぐに硬くなってしまうのですが、鬱蒼とした森の中とかなら結構伸びていても十分食べられる物も多いです。大きいのに新芽なので、やっぱり山奥の物は良いですね^^。写真の物なら半分より下から収穫してもスジ張っていないです。
採集の頃合いとして最も好まれる状態。自分はもっと大きくなった物が食べる所も多くて好きなのですが、このくらいの物が一番柔らかくてアクも少ないようですね。
山菜採りに行くと写真も沢山撮るのですが、この一枚は我ながら結構可愛く撮れたとお気に入りです^^。他の植物が完全に被ってしまっていますが、自分はありのままで写したいな~って思っているのでこのまま撮影しますw。ヒドイ人だと手前の草はもぎ取ってしまいますね(汗)、ありのままを愛せないのだろうか…と、思ってみたり。
●採ってはいけないゼンマイ
山菜の採集には注意点が多くあり、その中でも今後の繁栄の為に採ってはいけないものがあります。ゼンマイには胞子葉という部分があり、コレが無くなるとそのエリアでの発生に支障をきたしてしまいます。これを通称『男ゼンマイ』と呼びます。それ以外にはタラノメやコシアブラなら二番芽や三番芽は採らない、コゴミなら株が残るように二本か三本程度に抑えるなど、なるべく植生に影響を与えないようにしなければなりません。
こちらが男ゼンマイです。先端の葉の部分が、よく見ると何やら魚のエラのようになっています。最初に掲載した写真には『栄養葉(通称女ゼンマイ)』が写っています。基本的に栄養葉の方を採集します。それでも、決してその株からすべてを採ってはいけません。男ゼンマイは女ゼンマイが無いとちゃんと育たないのです(多分)。山菜の世界も、男を育てるのは女のようですねw^^。
コチラ開いて伸び放題になった男ゼンマイですw。こんな風になります^^。勿論、採ってしまうと将来の採集に影響が出てしまうかもしれませんので、そっとしておきましょう。
●霜に当てられても逞しく伸びる姿
ゼンマイの綿毛が黒く変色しています。本来なら綺麗な黄色をしているのですが、これは霜に当てられて黒く変色した状態です。ここへ来る数日前に、飯豊連峰の主稜線が冠雪するほどの寒波が訪れた日がありました。このゼンマイは幸いにも逞しく伸びていますが、タラノメやワラビやコシアブラなどは霜に当たると同じように変色して枯れてしまう事が多いです。ゼンマイは春でも霜当たりのリスクが高い時期に発生するので、その為に綿毛を身に纏いながら地上に出てくるのでしょうか。太古の植物の知恵なのかもしれませんね^^。
今年も無事に沢山採れました!^^。この後下処理をするのですが、その様子は是非記事上部の動画のリンクをご覧下さい!。
◆山奥の美しい山菜たち◆
折角良いカメラを持って山菜採りに行っているので、愛しの山菜たちの山で自生する姿を伝えたいと思います^^。
●コゴミ(クサソテツ)
コゴミと呼ばれる定番の山菜。見分けが簡単で、下処理も無く茹でるだけで美味しく頂ける名前も可愛いみんなから愛される山菜です。一つのエリアに大量に発生するので、初心者でも簡単に多収ができるのが良いですね。自分は茹でてカラシマヨネーズで食べるのが好きです^^。
ここでは枯れて倒れた葦の広場に大量発生していましたが、『え!?、こんな所にも!?』なんて場所に大量発生している事も多いので、目が慣れてくると車の運転中に見つけてしまう事もしばしばw。
●ミズ(ウワバミソウ)
このミズと呼ばれる山菜は、正式名称をウワバミソウと言って、時々新潟県内の温泉旅館でも季節物メニューとして出される事もある山菜です。ド田舎で育った自分としては、神社やお寺にモッサー!と生えている印象が強いですw。コチラもコゴミ同様大量に採れるので、専門に採集して出荷しているお爺さんに会った事もあります。と、言うか毎年会っていますw^^;。水がよく流れる所を好むようで、湧水や沢沿いで沢山見かけます。
写真のミズはまだ小さいですが、もうこれで食べる事ができます。おひたしなんかが美味しいですね。自分はアレもコレも採って食べきれないので、このコ達はそっとしておいてあげます。多分ここなら誰にも見つからないでしょう。
●トリアシショウマ
このトリアシショウマ、実はこれが食べられる山菜と知ったのはここ数年の事なのです。新潟ではあまりコレを食べる話は聞かなかったので、自分の地域ではスーパーマイナーと言えますw。おひたしが美味しいそうですね^^。今まで意識しなかったのですが、この辺でも沢山生えているのでいずれ採集して食べてみたいと思います。
この様に地域によって親しまれている山菜と、全く見向きもされない山菜が結構あります。新潟では種類も豊富ですし、物によっては信じられないくらい大量に採集できるので、あまり珍しい物は食さない傾向が強いです。新潟で一番人気はタラノメで、次いでワラビやコシアブラと言ったところでしょうか。実はゼンマイも積極的に採る人は多くないです(お陰様で自分は沢山採れています)。
●イワガラミ
紫陽花の仲間で、多分殆どの人が馴染みのない山菜です。食感はただの葉っぱで、味はキュウリです^^。じゃ、キュウリで良いじゃんって感じなので、最近は採らないで帰る事が多くなりましたw^^;。品目を増やしたい時に手軽に採っていましたが、実はツタウルシなどの猛毒草に似ている物が多くて、しかも一緒に生えている事が結構あるので採集はリスクがあるのです^^;。そこまでして採った味がキュウリではモチベーションの維持が難しくなりますw。完全にサバイバルな状況になった時には心強い知識になるかも知れませんw。
●ウルイ(オオバギボウシ)
ウルイの名で親しまれる定番の山菜です。野生下ではこのように崖に生えている事が多いので、ゼンマイ同様採集で命を落とす人が多かった山菜です。コシアブラが山菜の女王と呼ばれていますが、自分にとってこのウルイは山菜の貴婦人とでも呼びたいくらい大きな存在です。時期が来ると近所のスーパーでも栽培物が売られていますが、5本で500円とか700円とかする実は結構高級山菜だったりします^^;。
ワラビのようにヌメリがあるので、それだけちゃんと確認すれば有毒のバイケイソウと間違える事はほぼ無いと言えます。細い茎から広がる大きな葉、中世ヨーロッパの貴婦人のイメージそのものですね。大きな株を見つけると、折り重なるように広がる葉の光景はなかなか圧巻ですよ^^。
◆山菜は共に在る自然界からのメッセージ◆
よくこのような自然界の恵みを『贈り物』と評する事がありますが、自分はこれを自然界の『メッセージ』と思っています。
山菜の多くは体の毒出し的な効能があります。フキノトウなんかが苦いのは、あの苦み成分が腸内の循環を整えると聞きました。ワラビやウルイのヌメリは体の免疫機能に聞くと聞いています。長い冬を超えている間に体には、沢山の毒素が溜まります。春の山菜たちにはこの毒素を排出してくれる役目が『自然界のサイクル』の中にあって、多くの命を育んでくれていると考えています。熊も冬眠から覚めると、人間と同じように沢山の山菜を食べて体の調子を整えてから、季節を生きていく準備を始めます。
自分は山菜採りを通して毎年、遥か太古の頃からあった人と自然の在り方を感じています。文明が発展した今、主食にする必要も全く無いのですが、『生き物としての人』を忘れてしまわないように山菜たちが教えてくれているように思うのです。
この感覚は忘れたくない、大切にしたいと、きっとこれからもずっと、年を取って死ぬまで思っていく事でしょう。
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