巡る季節と共に生きる自分にとって春は、何を差し置いてもまず山菜としています。
山菜とはすなわち食べられる山野草の新芽の事で、春の限られた時期にしか味わう事の出来ない【純オーガニック食材】です。
そんな山菜ですが、時々『どうしたら山菜を見つけられるの?』と聞かれる事があります。山に十分慣れている人などには具体的な場所を教える事もありますが、そうでない場合は探し方を教えたりします。
実は多くの山菜はそんなにマジになって山の奥へ行かなくても、意外と簡単に見つける事ができたりします。まぁ簡単に見つかる所は決まって競争率が激しいので誰かに先を越されている事が多いのですがw。山菜と呼ばれる植物の生態や、探し方のコツが分かれば、チョット林道を歩いただけで簡単に見つける事もできるのです。
今回はそんな春の山菜を見つけるコツの話を今年採れた山菜の写真と共にお話していきたいと思います。
–
目次
- ◆【目が慣れる】が、ポイント!山菜を見つけるのは難しくない
- ●樹木系
- コシアブラ
- タカノツメ
- ハリギリ
- ウコギ
- ●樹木系
- ◆まとめ
山菜に関する過去記事
新潟の美しい山菜達を求めて山歩き・前編 ~2022春~ – Crop-of-Life
新潟春の山菜、タラの芽・コシアブラ・ハリギリ・タカノツメ・ワラビ・天ぷらや和風パスタにもしてみた! – Crop-of-Life
–
–
◆【目が慣れる】が、ポイント!山菜を見つけるのは難しくない
自分が教える時によく言うのが『目が慣れると意識しなくても見つけられるようになる』、あるいは『山菜の方から「ここだよ」と呼んでくる』なんて言っています。
人によって感覚は違うでしょうが、【見慣れる】と言うのは山菜探しに限らず野山で思いっきり楽しむためには結構重要な要素なのかなと思います。
●樹木系
山菜には大きく分けて【樹木系】と【下草系】があります。と、言ってもコレは自分が勝手に区別しているだけですがw。
コシアブラ
近年人気沸騰中の樹木系山菜【コシアブラ】。その名前の由来はかつて、油を濾し取って塗料を作っていた事に由来するそうです。その塗料は鎧甲冑の塗装に使われたとか。その頃から食用だったのかは分かりませんが、人と自然との関わりの深い歴史を感じますね。
そんなコシアブラ、非常に香りが良く天ぷらにするともうこれ以上上が無いと思うくらい美味いです!。
山奥は勿論、地域によっては海沿いの防風林内でも見つける事ができます。山菜の王者タラノメは藪が茂っているとあまり出ていない印象ですが、コシアブラは多少藪が濃くても結構まとまって立っていたりします。一番多いのは一本立ちです。時々大きくなったものも見かけます。
先に述べた防風林は勿論、登山道の脇に出ている事も珍しくないです。標高は一番高い所で1300mくらいの所で巨木になったものを見つけています。
杉が植林されたよく見るザ・林道みたいな所もよく出ています。一本あると大抵近くに何本も出ていたりするもんです。
広葉樹林の中でも沢山見かけます。杉林と違ってなるべく下草が無い方が出やすいみたいです。杉林のものでは一本立ちが特に多く、広葉樹林内では背が高くいくつも枝葉を伸ばしているものが多いです。
- 海沿いの防風林でも見つけられる
- 登山道脇にも出ている
- 標高はあまり関係ない
- ダム湖や峠道の脇にも結構出ていたりする
- 日当たりは良い方が良いが、当たりすぎる程開けてない方が良い
- 痩せ尾根は結構アタリだったりする
- 山の間を抜けるような国道でも普通に見かける
- スキー場の周辺はなぜか結構見かける
- シーズン序盤
採る時は基本的には一番上の【天芽】です。枝が沢山出ていれば二番芽まで採っても大丈夫ですが、採りすぎてしまうと幹が水を吸い上げられずに枯れてしまい、翌年には採れなくなってしまいます。
では一本立ちのものはどうするのかと言うと、一本立ちはまだ見えない脇芽がある事が殆どなのでそれが伸びれば問題ないです。一本立ちは大抵前年に出てきたもので、沢山立っている所では毎年新しく発芽してくる事が多いです。
タカノツメ
近年自分界隈でにわかに注目されている【タカノツメ】と言う山菜。コシアブラの仲間で、同じように非常に香りが良く天ぷらが美味しい山菜です。
葉が三枚で、その形からタカノツメと名付けられたそうです。
コチラも上記のコシアブラと発生条件は殆ど一緒です。知らないと気付かないだけで、コシアブラと混生している事が多いです。
これまであまり目立たなかったせいか、普通に木になっているのをよく見かけます。背が高過ぎてチビの自分にはとても収穫できないくらいです。
コシアブラとの一番の違いは【芽の数】です。一般的(?)なコシアブラの木は1~せいぜい3、4株がいいところなのに対してタカノツメは普通に倍くらい採れます。
コシアブラよりも葉にツヤがあり、光沢が強いです。収穫した時の香りがコシアブラと同じなので、見た目よりも香りでチェックすると間違いないでしょう。
- 上記のコシアブラと同じように探せる
- 香りがコシアブラと同じなので香りで判別する方がカンタン
- 特に痩せ尾根でよく見かける
- 採れ高はコシアブラの倍以上!
- シーズン序盤
コシアブラが見つけられれば、大抵近くにあるので見つかると思いますよ^^
ハリギリ
コチラもコシアブラやタカノツメと同じウコギ科の仲間で【ハリギリ】と言います。トゲがあるのが特徴で、コシアブラのような香りはありません。タラノメに近い印象です。
タラノメよりも結構しっかりしたトゲがあるので見分けやすいです。ハカマの部分が赤いのも特徴です。以前雲取山へ山行に行った際に麓で見かけたハリギリの巨木が忘れられません。ウコギ科の中で最も巨木になるのではないでしょうか。
コシアブラやタカノツメと同じような所に出ますが、それらと比べると数は見つかりません。自分の場合は標高が600mとか過ぎたような所では見た事はありません。いわゆる山の麓と言われるような所がメインです。
タラノメも標高の高い所では見かけないのですが、自分はこれらを【タラノメ派】と【コシアブラ派】に分けて考えています。ハリギリはタラノメ派です。全く無い…って事はないのでしょうが、例えば痩せ尾根や登山道ではまず見つかりません。
- 山の麓の森林内がメイン
- 標高の高い所(600m以上?)では見かけない
- コシアブラ・タカノツメと同じような森林や林道脇に出る
- 痩せ尾根みたいな所には出ない
- 斜面になっている所でも見かけない
- どちらかというと暗い所でよく見かける
- シーズン序盤
上記二種が見つけられれば自然と見つけられると思います。風味は高くないですが、ほんのり新芽の香りがして、和風パスタにするのがおススメです。舌にピリッとする感覚を感じる事がありますが、それはアクが強いためですので、気になるようでしたら調理前に15分程水に晒すだけでも気にならなくなります。
ウコギ
上記三種の親玉(と勝手に思ってる)その名は【ウコギ】。ウコギ科のウコギなので親玉と思っていますw。
葉が五枚広がり香りはコシアブラ。ご覧の通り沢山の葉を付け、一か所で大量に採れるのが特徴です。収穫は少しコツが要ります。葉がバラバラになりやすいです^^;。
より標高の低い所でしか見た事ありません。殆どが山の麓、大河川の河川敷の藪などです。自分が子供の頃住んでいた集落のお寺の庭に生えていたのを記憶しています。精進料理にも使われたとか。
個人的にはコシアブラより発見難易度が高いと思います。一か所見つけるとガッツリ採れるのですが、群生とかはしてないのでその『一か所』を見つけるまでは全然出会えません^^;。シーズンの終盤で大きくなったモノは天ぷらにできます。小さい内(2、3㎝くらい)は天ぷらにしても、なんだかよく分からないのですが、大体6、7㎝くらいなら天ぷらにするとおいしいです。
- 標高の高い所では見かけない
- 群生はしていない
- 森や林の切れ目に出る
- 樹木系だがあまり木っぽくない
- どちらかというとツルみたい
- コシアブラと同じ香りがする
- 杉林とかよりも雑木林みたいな所で見つける事が多い
- 登山口へ向かう途中の車道脇が見つけやすい
- シーズン序盤~中盤
田舎なら川沿いの雑木林みたいになっている所を探した方が早いかも知れません。大河川で上流からの流木とかがよく引っかかるような所だと出ている可能性が高いと思います。
◆まとめ
- 山奥じゃなくても見つけられる
- 近所にある林道や藪は意外と穴場
- 車が通るような道端でも出ている
山菜と言っても、案外山以外の所でも十分収穫できたりします。自分が住んでいる新潟県では、海沿いの防風林、特に山が近い所では結構いろんな山菜が出ていたりもしますし、浜辺には浜辺の食べられる野草が出ていたりもします。身近な雑木林など今一度探索してみると面白いかも知れません^^。
余談ですが、以前ある林業者の人に聞いた事があるのですが
『伐採した所はまずタラの木が先に出てくるんさね!。ほんでトゲで邪魔んなるすけみんな倒すんさね!』
と、いう話を聞きました。確かに鬱蒼とした所でタラノメはあまり見かけません。山菜にはそれぞれに【出やすい条件】があります。その条件が分かればもう探すのはカンタン。なんならグー地図の航空写真だけでも見つけられるようになるかも知れません。
見つけられるようになるだけでも、これまでとまた一つ違った関わり方ができて楽しいです。配慮を忘れずに、楽しく自然と関わっていきたいですね^^。
コメントを残す