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2022-05-15

新潟の美しい山菜達を求めて山歩き・前編 ~2022春~

 冬の寒さが懐かしくなるような四月の終わり頃、新潟の平野部では農繁期に向けて田んぼの仕事があちらこちらで始まっていました。

 そんな新潟らしい風景が広がるこの時期、山野では山菜類がハイシーズンを迎えています。県内各地の道の駅では、その土地ならではの山菜が並び、SNSでも自然に関わる話題は山菜だらけ。最近ではスーパーでもウルイやタラの芽がパックに詰められ、商品棚に並ぶ事も。

 山菜文化は古くは縄文時代から、現代でもメジャーなワラビなどが食されていた事が解っています。特に新潟や長野などの雪国や東北地方でその文化が色濃く残り、山村集落では今でもそこの里山で採れたゼンマイを干している光景が見られます。

 自然界の中で逞しく生きる山菜。その姿は尊く、生きる力を感じる事ができます。

目次

YouTube動画はコチラ

◆冬を越えて芽吹く山菜

 山菜は基本的にその植物の新芽を指します。ある程度大きくなってからでも食べられるものもありますが、大抵は芽吹いたばかりの新芽の状態の物です。

 雪解けと同時に森の中で次々と芽吹いていく姿はまさに春ならではの光景ですね^^。

●ウコギ・ニワトコ

 メジャーな山菜よりも少しマイナーよりの物があります。山菜採りを始めて数年くらいで興味を持ち始めるのでは?と、思える種類ですが、特に興味も持たずにスルーする事もあるかもしれません。

 良かったら見て行って下さい^^。

ウコギ

F4 SS1/100 ISO-200 0EV 70㎜ PENTAX・K-1 D-FA24-70

 一度に沢山の葉を付け、自分が知っているあるお寺では庭先で生やしておき、精進料理のようなものに利用していたのを見た事があります。

 ウコギ科の山菜は全般的にとても香りが良いです。このウコギもコシアブラ同様とても香りが良く、一度に沢山採集できるので炊き込みご飯のようにして食べる事が多いです。

 逆に天ぷらのような料理は、葉っぱがバラバラになりやすいので向いていないです。

探し方や特徴

 山奥のような所では見かけた事はありません。どちらかと言うと山の入り口付近で見かける事が多いです。藪が切れて開けた場所の境目辺りで見つける事が殆どです。他にも海辺の防風林で見かけた事もあります。

 特徴はコシアブラのような五枚葉と香りです。木になると言うよりは、ツルっぽい伸び方をしますが、大きくなると結構立派な木になります。採集の際は三つ飛ばしくらいの間隔で摘んでいきます。取りすぎると木が枯れてしまうので注意です。

ニワトコ

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 一度目が慣れると『こんなに沢山あるのか!』と、思うくらいそこら中に生えている山菜です。葉を揉むと何やら濃厚で独特な香りがします。

 自分が住んでいる地域ではこれを積極的に食べている話は聞いた事がありません。アクがかなり強く、一度に食べる量を2、3個程度にしておかないと腹を下すそうです^^;。

探し方や特徴

 先程のウコギ同様藪の切れた所に多いのですが、結構な山奥でも見かける事が多いです。麓から奥地まで満遍なく生えています。藪の中からツルを伸ばしている事もあります。新芽はアシタバにも似ています。

 新芽が出て早々にブロッコリーのような実が付きます。ツルがどこまでも伸びるように増えていきます。他の地域は分かりませんが、自分の住んでいる所では摘む事が無いので沢山見つけます。

●トリアシショウマ・ヤマブキショウマ

 ある程度山菜に慣れている人でも結構マイナーな種類です。自分は時々採集して天ぷらやおひたしにしますが、そこまで積極的に採る事はないです。それでもニワトコと違って、時折採集されていった痕跡を見かけますので、誰か好きな人が居るのかもしれません。

トリアシショウマ

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 見た目が鶏の足のようだからトリアシと呼ばれているようです。何となくヘンテコな見た目の植物で、よく分からないと『コレほんとに食べられるの?』と疑問に思ってしまうかも知れません。実際自分も食べるようになったのはここ10年くらいで、昔から食べていたという訳ではありませんでした。

 こういうマイナー山菜を知っていると採集に出かけた時に、品目を一品増やして食卓を豊かにできますね。

探し方や特徴

 コチラはそれなりに山奥へ行かないと見つかりません。ウコギやニワトコがある程度平地でも見つかる事があるのに対して、ちゃんと山の中に入らないと出ていません。出る所では一度に沢山出ますが、旬の状態が一日くらいしかキープされないです。水流の近い急斜面でよく見かけます。

 新緑の季節に赤い…というか茶色いのですぐに見分けがつきます。あと、毛だらけです。味は…そんなにしないですw。漢方と言うか、生薬のように利用されていたそうです。

ヤマブキショウマ

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 先のトリアシショウマと同じような所で同じように群生します。こちらの方が新緑の時期に鮮やかで山菜って感じがしますね。写真はちょっと枝が開いていますが、本当はもっと小さい開く前の物が良いです。アスパラっぽい味がします。コチラもかつては生薬のように使われていたようです。

探し方や特徴

 トリアシショウマが見つかればこれも簡単に見つかります。大体となりとかに生えている事が多いですが、地域が変わると(新潟以外とか)もう少し出方が変わるかも知れません。斜面で束になって出ている事が多いです。

 緑と赤のコントラストが効いたカラーリングをしています。食べ頃の新芽はアスパラっぽい形をしています。毛は生えていないです。

●ノカンゾウ・ネマガリタケ・サンショウ

 思うように見つけるのが少々難しい探索難易度高めの種類です。地域性が特に出ていると自分は思っています。生息地によっては天然の状態で保護し、近隣集落で山菜事業として収入減になっている所もあります。

ノカンゾウ

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 ある程度山の入った所で見かける事がありますが、自分の地域ではとにかく数が少ないです。平地の潟場でも時たま見かけます。今回見つけたこの株は、別の探索で入ったいつもの山でたまたま見つけた物です。なんせ数が少ないので基本的に採集はしていません。これはある程度育った状態なので、食用にするならもっと小さいウチに採らないとスジが通ってしまいます。

探し方や特徴

 登山道の入り口からある程度の山奥まで出ます。平地でも規模の大きい潟場なら出ている事があります。なるべく平らな地形の所で、なるべく他に背の高い植物が無い開けた所じゃないと生えてこないです。斜面のような所では今まで一度も見た事がありません。

 他の草と見分けがつきにくい感じがしますが、他の草が生えてくる前に出てくるので結構目立ちます。交互に葉を広げていく姿が可愛らしいです。匂いなどは特に際立たないのですが、ワラビのようなぬめりがあるのですぐに分かります。天ぷらやおひたしが王道です。

ネマガリタケ

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 チシマザサという笹竹の一種で、東日本の降雪地帯が主な生息地です。新潟では魚沼地域が有名な山地です。ネマガリタケは通称です。『なんだ、笹竹なんてそこら中にあるじゃん』と言う方もおりますが、よく似た別の笹竹類が群生しているだけでこのチシマザサは自分の住んでいる地域ではそんなに多くないです。

探し方や特徴

 他の笹竹類と見分けるのが結構難しいのですが、チシマザサは結構太めです。葉の裏はザラザラで、根本より株の上部で沢山枝分かれしています。出る所ではまとまって出るので、結構な収穫量になります。よく似た笹竹類のタケノコは細くて食べる所がありません。『妙に太い笹竹のタケノコだなぁ~…』と、思ったら大体アタリです。

 地形はあまり選ばないようですが斜面で茂っている事が多いです。雨に恵まれて他に木が立っていないような所で文字通り群生しています。クマのエサでもあるせいか、このタケノコ採り中にクマと鉢合わせしてトラブルになる話をよく聞きますので十分注意しましょう(汗)

サンショウ

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 柑橘系のとても良い香りがする山菜では珍しいミカン科の低木です。春の新芽、夏の果実、秋の熟した果実と、季節を通して主に薬味として古くから親しまれています。園芸店で苗を購入する事もでき、自分の住んでいる地域では庭先に植えられている家は珍しくないです。

探し方や特徴

 トゲがあるなどそれなりの特徴はあるのですが。何と言ってもその香りです。似たような植物があっても、この見た目でこの香りがするものは他に存在しませんからそれだけで十分判別できます。葉を揉まなくても香りがします。新芽は佃煮や添え物、夏の果実は色んな料理の味の色どりに、秋の果実は干して薬味作りにします。

 森の切れ目や半日日陰になるような所で見かけます。登山道や林道、山奥の斜面など様々な所で見つける事ができるのですが、数はとても少ないです。一番見つけるパターンはやっぱり森や林の切れ目で、ある程度斜面になっている所ですね。敢えて探すよりは、偶然見つける事を願う方が良いと思います。。。

ピリリと痺れる辛さの山椒!初夏の山菜採り  ←以前にも記事にしているので参考にどうぞ!。

◆水辺の山菜の麗しさ

 山菜にもそれぞれに生育に適した環境があります。平地が良いもの、斜面が良いもの、水辺が良いものなど。

 中でも水辺に出る物は少し特別感があるように思います。他の山菜には目もくれずにそれだけ採る人も居るくらいです。それだけにこの手の種類は見事に栽培がなされ、物によっては産業として確立している種類さえあります。

●ワサビ・ユキノシタ

 水辺の山菜は色も鮮やかでとても綺麗です。葉や茎も艶やかで綺麗な花も咲かせる、さすが水辺のもの。その立ち姿も見ていて絵になります。

ワサビ

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 ワサビは完全に産業化が成功した品種と言って良いでしょう。今日では当たり前のように一年中スーパーで購入する事ができます。他の山菜が品種改良されて野菜化されたのに対して、ある程度原種状態を保って一年中供給されているのはこのワサビくらいな物じゃないでしょうか。

探し方や特徴

 ある程度山に入り込んだ沢をひたすら探索するしかありません。数はとにかく少ないです。水の流れが少しでも滞るような所には基本的に出ません。かといって常に水に浸かるような所でも出ません。これは個人的見解ですが、日当たりが良い所も出ないようです。

 春の旬の時期に白い花を咲かせます。先端が窄むようなハート形の葉を広げます。葉っぱを採集して葉ワサビとして天ぷらやお浸し(そればっか)にしますが、根を採ってしまうと二度とそこに出なくなるのでそれは止めましょう。あっという間に根絶やしになってしまいます。サッと茹でて醤油が最高です。

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ユキノシタ
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 雪深い冬の間もその葉を青く茂らせる事からその名が付いたと言われています。山菜と言うよりは古くは家庭医学としてヤケドの薬などに用いられていたそうです。古い家では庭先に植えられているのも珍しくないです。

探し方や特徴

 ワサビと同じような条件でよく見かけますが、比較的簡単に見つける事ができます。必ずしも水辺じゃなくても良いようで、斜面の上の開けた所で群生している事もあります。イワウチワの葉とよく似ていますが、表面に毛がフサフサしていて白、或いは紫の模様が目立ちます。一日を通してある程度日陰がキープされている所に生えています。

 初夏の頃に背の高い小さな白い花を付けます。葉を一枚一枚丁寧に採集して、片面に衣を付けて天ぷらにするのが美味しいです。軽い水さらし程度でアク抜きは完了です。

●ウルイ(オオバギボウシ)

 近年では道の駅などで栽培された者が並ぶなど、かつてと比べて非常に親しみやすくなりました。本称をオオバギボウシと言いまして、近縁種は園芸鑑賞用などもあります。

ウルイの群生

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 以前は見つけると結構な高級品でした。長ネギのように根本の白い部分が多い方が良い物とされ、栽培品ではその部分を伸ばすように育てられています。個人的には天然物にそのような拘りは必要ないと思います。

探し方や特徴

 自分が知る限り生育場所が一番過酷と言いますか…生えている場所が斜面を通り越して崖なんですよね^^;。そうじゃない所でも見つける事はあるのですが、数を見つけようとしたらどうしても崖になります。

 新芽が有毒のコバイケイソウと似ているうえに、隣どうしで生えている事もあります。よく見れば必ず見分けられますが、せっせと採集しているうちに誤って混ぜてしまっているのでしょう、毎年必ず誤食事故が発生しています。もうニラ・スイセンくらい定番です。茎にワラビのようなヌメリがあるので、必ずチェックすると良いと思います。天ぷらお浸しの他、和風パスタも美味しいですし、葉がある程度開いても茹でて絞れば歯切れが良くて普通に美味しいですよ^^。完全に開くとスジ張ります^^;。

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◆自然、山と共に生きる事

 山菜と触れ合う事は、季節の山と直に触れ合う事と同じと思います。山菜は我々人間だけじゃなく、山に住む獣達にとっても春の貴重な食料となっています。

 そんな共存関係を感じながら、敬意と感謝で山と共に生き、生きる力を借りる。そして最後は土に還り、借りていた力を自然界に還す。人も獣もそうやって生きてきた事でしょう。

●コゴミが見た風景

 コゴミが遠くの山々を見つめています。その隣には塔になったフキノトウ。このコゴミは丁度旬を迎えているようです。

コゴミの本称はクサソテツ

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探し方や特徴

 沢沿いの広く開けた所を探せば簡単に群落を見つける事ができます。山奥の他、麓の河川敷なんかでも群生している事が多いです。他のシダ類よりも緑色が濃く、毛のような物は無くて、茎の真ん中が凹んでいるので簡単に見分けられます。一度見つけると目が慣れて、車でドライブ中にそこら中で見つけられるようになります

 一株から最大で8本くらい出ますが、採るのは2~3本です。たまにボリボリと毟り採っていく人を見かけますが、沢山あるからと言ってそんな採り方をしてしまうとあっという間に採れなくなってしまいます(汗)。

●巨木の生涯を称えるカタクリ

 現在では季節の色どりとしてとても親しまれている森の妖精カタクリ。かつては花も葉も、根さえも食用として利用されていました。あの片栗粉はこの花の球根が原料になってできていたのですが、御覧の通りとても小さい花なのであっという間にその数を減らしたのが江戸時代の頃の話だそうです。

カタクリを救ったジャガイモ

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 それからジャガイモのデンプンが代用品として普及し、現在ではその数を取り戻して登山者たちの目を楽しませてくれています。他にもワラビ餅に使うワラビ粉も、本来ならワラビの根っこなのですが現在ではジャガイモデンプンが用いられています。

 いつ頃倒れたのか分からない巨木。その傍らでこの巨木の生涯を称えるように咲き誇っているカタクリ。人が入らないような山奥で時たま見つけるこのような場所。忘れたくない大切な事を改めて語り掛けてくれます。

探し方や特徴

 今ではどこの山中でも見る事ができます。結構な標高(1,400mくらい)でも綺麗に咲いていますね^^。斜面、平場、水辺、藪…どこにでも咲けるこの花は本来、自然界の中でもとても強い花なのではと思うのです。

 定番の天ぷらおひたしで親しまれていた他、球根は消化が良く滋養食だったそうです。自分は採集した事は無いですし、身近でも採集した話を聞いた事がありません。保護が叫ばれた時代を経て、食用としていた文化は殆ど無くなっていったようです。それでも一部地域では旅館で栽培物を提供したりしているそうです。

◆自然に親しみ敬意を

 山菜に触れるのは、自分の中に忘れたくない何かを感じているからです。それは山菜という存在だけではなく、山歩き森歩きも同じように忘れたくない何かを自分の中に感じているからです。同じように山歩き森歩きをされる方の中にもきっと、自分と同じような何かを感じていると勝手に思っています。

 現代のような生活は人類の歴史の中で見ても全体の0.00…%くらいの時間しか過ごしていないのです。我々の中に流れる血は、少し前まで自然や野生と共に在った事を覚えています。それが本来の生き方であるならば、今の暮らしはなんと窮屈な事でしょう。

 それは決して街を離れてサバイバル生活をしようと、そういう話ではありません。便利な生活をするためだけに長時間労働や納税など随分不便な思いをしているなと思うのです。勿論自分もそうです。

 今は少し前と比べて、色々な事が見直されているように思います。不便を楽しむ時間を自由に作れるようになればきっと、窮屈な生き方から少しでも解放される瞬間ができて、心静かに豊かに過ごせると思うのです。

 季節は短く、あっという間に過ぎていきます。限られた時間の中で、少しでも共に在れるように。

●岩に立つ山桜

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