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2022-03-01

令和3年度『新潟』キジ・カモ単独忍び猟。沢山の命に感謝をこめて

 2022年2月15日をもって猟期が終了しました(新潟県のシカ・イノシシは3月15日まで)。とても立派な獲物に恵まれ、自然界には感謝しかありません。今回の記事では今シーズンのDaiの狩猟についてまとめていこうと思います。

 自分の基本的な狩猟のスタイルは『単独』による『忍び猟』です。忍び猟とは、フィールドサインを辿って獲物を探したり、通り道などで待ち伏せしたりするような猟法です。主に単独で活動する猟師がこのスタイルで猟を行います。

目次

今回の記事に関連する動画

◆12月4日、アオクビ

 新潟では昔から散弾銃によるカモ猟が盛んです。

 猟期の始めはヤマドリを追っていましたが、雪が降り始めるのに合わせて徐々に里へ下り、カモやキジなどに狙いを変えます。このシーズンは最終的にヤマドリは獲れませんでした。

 この頃には新潟の平野部ではこのアオクビをはじめ沢山の雁・鴨類などの渡り鳥で賑わっており、田んぼには新潟市の鳥、コハクチョウが落穂をついばんでいる姿がそこかしこで見られていました。

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 最初の獲物です。とても大きく、毛艶の良いマガモ若鳥のオスです。オスは通称アオクビと呼ばれ、英語圏では『duck』、アヒルの原種となっています。このマガモが家畜化されたものが合鴨です。地域によっては大ガモと呼ばれたりもします。獲物として世界中で愛されています。

 里から離れた野池の更に奥、当然人影など無い所。冷たい冬の雨が、みぞれを交えながら静かに降りしきっていました。

 池の畔、餌を採る二羽。距離約35m、有効射程いっぱいいっぱい。斜面の上方、木々の間から除くコチラには当然気付いていない。

 獲るのは一羽だけ…重なる照星、止まる呼吸、必ず一発で仕留める。絞る引き金…響き渡る銃声の中、マトモに掛かったのが見えた。

 絶命を確認し山に感謝を捧げ、獲物に敬意を表して猟場を後にしました。

●解体、料理

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 カモなどの水鳥系は羽毛の処理が結構大変です。特にカモは細かい毛が多く、手で毟っているとなかなかに骨が折れる作業です^^;。一応ダックワックスと言ういっぺんに羽毛を毟るための便利な物があるのですが、せっかくのオーガニック食材をパラフィンに晒すのはいかがなものかと思い(実際には材料費をケチっている)自分は手で毟っています。多分、処理工程で最も時間がかかっています…。

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 肉も皮も骨も、どこをとっても美味しいです。まずは良い所から大事に食していきます。よく言われるようなジビエの臭みとかはありません。マガモではそういうのは聞いた事が無いです。カルガモなんかですとたまに聞きますが、基本的に下処理の問題と言うか、鮮度が良い内に肉にすればまず臭くなる事は無いと思うのですが…そこらへんはその個体が、どこで・どのようなエサを摂っていたのかも重要なポイントです。ジビエはとても個性があります。

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 銀色でとても綺麗な羽をもった個体でした。遥か北の大陸から日本へ渡り、この地で生涯を終えました。改めて心から敬意を持ちたいです。

◆1月9日、キジ

 日本人にとって古来から身近に存在した野鳥で、童話『桃太郎』でも存在感を大いに発揮しています。『日本の国鳥』として大切にされる一方、狩猟鳥獣として狩られる事に猟師としての自分も、正直複雑な気持ちを抱くのであります^^;。

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 キジはとても勇敢で子煩悩な鳥として知られています。日本ではオスのみ、一日あたり二羽まで狩猟に関する法律で制限が設けられています(実際には二羽どころか犬無しでは一羽獲るのも一苦労)。緑色が鮮やかな二ホンキジの他、亜種のコウライキジも狩猟鳥獣ですが、自分の生活圏ではまだ見た事はありません。

●キジの居る所

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 キジはニワトリくらいの大きな鳥でありながら、スズメくらい人家の近くで暮らしています。なまじ歩いたり走ったりしながら移動するので、カラスよりも人に近いと思います。

 そんなキジですが、当然人家の近くで狩猟などして良いはずもなく、本来のフィールドである広大な藪場や大規模河川の河川敷などで探します。

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 セイタクアワダチソウという外来種の植物、近頃アチコチで大繁殖しているのを見ます。大河川の河川敷ではかつて畑地として整備されたものの、時代と共に放棄されこのように藪になって自然に還っている所が多いです。

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 この時期の主なエサのノイバラの実。この辺りは雪が積もっても沢山残っている。

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 自分は犬を持たないので、藪から自分で獲物を踏み出します。今シーズンオスメス合わせて100回以上は踏み出しました(汗)。それで獲れたのは一羽…上出来です!

 雪の上に残る足跡…まだ新しい。藪から林の方へ向かっている。

 歩幅が急に広がった。前爪で雪をひっかきながら走っている…コチラを気取ったようだ。

 藪から林に入る次の瞬間、視界の左から右へ走る影…!小高く丘になった斜面を上がりながら地面を蹴った瞬間、銃声と同時に体制を完全に崩した。

 羽で地面を叩いてる。ゆっくり歩み寄りながら排莢、脱包、その場で跪き絶命を見届けた。

●沢山取れる肉

 キジはその大きさもさることながら、獲れる肉の量が多いのも人気の理由の一つです。

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 胸肉、ササミ、手羽先、手羽元、モモ、皮の他骨は鶏ガラにします。

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 解体中手羽先にあたる部分から鉛弾が出てきました。これは自分が放った弾丸ではありません。毛を巻き込みながら皮下にめり込み、傷口は完全に塞がっていました。

 取り出した鉛弾と古い羽毛。

 キジやカモは常に人間に狙われる存在。人間以外の生物はみな、どれ程人間が滅ぶ事を望んでいるのだろうと思わずにいられませんでした。一発で仕留めきれなければいたずらに苦しめる…技術は常に磨いていくべきだ。

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 ハツ、レバー、砂肝。赤ホルモンですが、臭みは無く普通に焼き鳥として、なんならそれ以上に濃厚で美味しいです。

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 ササミは茹でてサラダに、鉄分豊富な赤ホルモンは妻へ、皮の端、ボン尻を焼き鳥にして頂きました。

◆1月30日、アオクビ

 忙しく日々を過ごしている間にあっという間に時は流れ、猟期終了まで残り一か月を切りました。健全なハンターならそろそろ猟果に追い込みを入れるところなのでしょうが、自分はその辺あまり拘らないのでいつも通り猟場を探索していました。

 風は強いが度々晴れ間も出る天気。水辺では沢山のカモ類が思い思いに過ごしていました。

 雪が積もるヤブの中から忍び寄ります。一度コチラの気配に気づき何羽か飛び去りましたが、うまく身を隠したので程なくして舞い戻ります。

 雪とヤブの間、一点を見つけて弾道にする。

 水の流れと共にその弾道に重なる獲物。

 少しでも動けば違和感を与えてしまう中、静かに引き金に指をかける。深いヤブに囲まれて銃は振れない…撃てるのはここ一点だけ…必ず一発で仕留める…!

 轟く銃声、弾け飛ぶ雪とヤブ枝、立ち上がる水柱。

 散弾の一部が後頭部を貫いていた。銃を下げ立ち上がった時には明らかに絶命していた。

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●どれだけ美味しく料理できるのか

 自分はあまり料理に拘らない…と、いうかそこまで料理に明るくないのでいつも簡単に焼いて塩コショウって感じなのですが、せっかくなので『マガモのロースト』に挑戦してみました。

まずは解体

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 上手く捌けました。この辺は釣魚でもそうですが、獲物に敬意を込めて丁寧に捌きたいです。

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 とても良い胸肉が取れました。見立て通りエサをよく取っていた個体のようで、脂もよく乗っています。

おっかなびっくり慎重に料理

 なんせ初めての事なので『料理失敗して変なふうになったらどうしよう…』などといらぬ心配をしながらアレコレ手順を再確認、段取りを整えていざ調理開始!

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 皮目に飾り切りを入れて塩を摺りこみ、フライパンで下焼きをします。なるべく弱火で焦らずに焼くようにすると肉が硬くなりません。多分皮に切れ目を入れないと縮んで残念な事になりそうです。

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 下焼きしながらあらかじめ余熱をかけておいた電子レンジ(オーブンモード)。余熱が完了したらそっと胸肉を入れます。因みに温度は180度で7分です。もうこの時点でメチャクチャいい匂いがしてきています!

 普段そこまで熱心に料理はしないのですが、自分で仕留めた獲物はやっぱり自分で丁寧に食べたいですね。子供の頃から釣った魚を刺身にしたり焼き魚にしたり、今でも味噌漬けや干物なんかを自分で作ったりしています。

マガモのローストの出来上がり!

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 思った以上に上手くできました!獲った獲物を自分で丁寧に料理して美味しくいただけるなんて、現代社会においてこれ程の贅沢は無いのかもしれません。

 塩で下焼きした以外は特に味付けはしていません。食べる時にワサビ醤油でゆっくり味わいます。色々調べると、ハーブや香辛料を使うと美味しいらしいですが、我が家にある香辛料と言えば昨年秋に採集した山椒の実くらいなものです。次にローストを作る時はこの山椒を使って、塩漬けのワラビを添えようと思います。

◆2月5日、アオクビ

 強い寒波の影響で結構な降雪量となったこの日、いつもの猟場ではいつも通りカモ達が集まって羽を休めていました。

 この時の様子は動画に残し、YouTubeにアップしました。この記事最上部にリンクが貼ってありますのでそちらから是非ご覧ください。

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 時折吹雪ながらも太陽が雲間から顔を出す空模様。

 藪の中に潜り込むと殆ど風を感じない。

 新雪のお陰で地面を踏む足音は出ない。水辺のかなり近い所まで忍び寄れた。

 藪の枝には雪がこんもり積もってこちらからも向こうがよく見えない。

 弾道を決め、息を殺す。獲物はコチラに気付いていない。

 まるで万華鏡を覗くように一羽のアオクビが重なった。銃声が一発、大きく息を吸う。自分と仕留めた獲物だけが雪の中。

●少し年配のアオクビだった

 この日獲った一羽は年配のアオクビでした。全体的に羽の色がくすんでいるのと、毛艶が目立たず羽先の纏まりが弱くて毛羽立つような個体でした。

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 一体どれ程生きていたのでしょう。

 概ね5年~10年とされていますが、草食の鳥類は時に信じられないくらい長生きする事があります。二歳くらいまでを若鳥とする事もありますが、正確な年齢は見た目ではほぼ分かりません。若鳥の方が肉質が柔らかいのは確かです。

 この一羽は10年近く生きたのではないだろうかと自分は思います。野生下では結構長生きした方だと思います。そんなこのアオクビの『最期』が自分であった事に、『彼への敬意』をハンターとして胸に刻みます。

 自分では見る事ができない、空から見た世界をこのアオクビは沢山見てきた事でしょう。沢山子供も残したことでしょう。自分は、たかがカモ一羽なんて思いたくないです。

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◆敬意を表して、感謝を込めて

 狩猟は娯楽殺生と批判される事もあります。それに対して自分は否定はしません。それを趣向としているハンターも沢山おります。

 ですが自分としては、農業よりもずっと歴史が古いこの『狩猟』という生命活動を大切に考えています。ジビエから頂くのは生命力の強さです。そして獲物になる動物はみな、自然の中で自由にのびのびと生きていた命です。

 生き物は他の生き物の命を取る事でしか生きる事はできません。現代では食べ物はどこかの誰かが用意してくれるので、あとはお金だけ払えばさほど労する事無く食べる事ができます。実際に自分の食べる命を自分で取っている人の方が圧倒的少数派です。

 狩猟という活動には高い倫理観が求められます。まして自分は猟銃を使用する銃猟者です。銃の所持使用は法律で厳しく制限されています。そして、その許可はとても簡単にはく奪されるものです。今は銃猟者として活動できますが、公安委員会が少しでも信用できないと判断すればすぐに銃は使えなくなり、そうなればもうハンターに戻る事はできません。

 ハンターでいられるのは銃を持つ事が許され続けるかどうか。自分はハンターとして清廉でありたいと願っています。

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