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2021-11-28

BCミロクM1800の手入れと射撃

 このブログでは主に山歩きや山菜採りなどを中心に街歩きやカメラの話題などを写真で綴っています。

 このブログの執筆者であるDaiは最近狩猟免許と猟銃の所持許可を取得しました。純田舎育ちの自分にとっては、いわゆる『鉄砲ぶち』はさほど珍しい事ではなく、子供の頃から身近に狩猟をやっている人は結構いました。

 今回の記事では自分が所持している猟銃のメンテナンスや取扱の話題を書いていこうと思います。この記事で紹介する猟銃は令和三年に追加所持で新たに許可を受けた物です。

目次

分解整備の様子を動画にしてあります。

 日本において『銃』というのはとても特殊な存在です。自分が所持している猟銃は、いかにも猟銃っぽい形をしたオーソドックスな物です。銃身と呼ばれる長い鉄の筒があって、木でできた握る所があって…。アクション映画が好きな方や、エアガンでサバイバルゲームをされる方だと一目見てピンとくると思いますが、大多数の方は知り合いにクレー射撃やっている人とかサバゲーやっている人とか居ない事と思います。

 今回は自分が所持しているこの古い銃をメンテナンスする様子を公開し、自分の自然との関わり合いを綴っていきたいと思います。

◆BCミロク・M1800という古銃

 一言で言うと、とても古い銃です。と言っても、戦国時代に活躍したとか、戊辰戦争で名を挙げたとかはないです。ですが現役で使う道具としてはかなりの年数が経っている物ではあります。アクション映画なんかではなんだか使い捨て感があったりもする銃という道具ですが、時代が変わってもいまだに現役で活躍している代物です。

●日本の職人が仕上げた銘銃

F5.6 SS1 ISO-100 -1EV 70㎜ PENTAX.K-1 D-FA24-70

 この銃は1970年代頃に作られた事は分かっているのですが、正確な年式まではもう分かりません。量産型ではありますが立派な『日本製』です。ミロクという国内では老舗の銃器メーカーの職人によって作られました。このメーカーはあのレクサスのハンドルなどの木製品も制作したメーカーです。

 この銃はBCミロクとなっていますが、この銃の設計を手掛けたのはアメリカのこれまた老舗メーカーの『ブローニング』という会社です。この重心が縦に二本並んだ形状の物を上下二連銃と呼ぶのですが、この形を設計したのがブローニング社です。

 本場アメリカの銃器メーカーによる設計で、日本の職人が高精度に作り上げた銘銃です。古いモデルではありますが、量産型だったため中古品の玉数が豊富で、射撃初心者向けとなっているようです。

 上下二連中は新銃で購入すると結構なお値段(60万円とか)しますが、この銃も当時はかなり高価な品物だったようです。

●三十代の自分の残りの人生でも使いきれる丈夫な代物

F5.6 SS1/3 ISO-100 0EV 70㎜ PENTAX.K-1 D-FA24-70

 このような猟銃は『一生モノ』と言われる事が多いです。アメリカ製の一般的なポンプアクション銃でも、丁寧に手入れや部品交換を行えば数十年に渡って使用できます。

 その中でも上下二連銃は構造上大きく動く部品が少なく、更に部品点数も少ないので必然的に故障の箇所も少なくなるのです。

F7.1 SS1.3 ISO-100 0EV 50㎜ PENTAX.K-1 DEE4-70

 ですが、中にはいわゆるハズレもあるようで、射撃に多用したら木製の銃床が裂けた!なんて話も聞いた事があります。実猟に多用された銃は、強力な弾丸を使用する事もあるため、最終的に銃身が破裂するなどの深刻な故障が起こる事もあるようです。

 それでも基本的にはとても丈夫な物です。今回公開している銃に関しては、自分が頑張って使い続ければ前所持者から通算で100年もつかもしれません!

F5.6 SS2 ISO-100 -0.7EV 40㎜ PENTAX.K-1 D-FA24-70

◆クレー射撃は爽快なスポーツ!

 猟銃は基本的に狩猟に使用する事を目的としています。所持するために警察(公安委員会)での手続きを行う必要があるのですが、所持目的が『狩猟』『標的射撃』『有害駆除』の三種類に分けられ、いずれか、もしくは複合的に要件を付けて所持許可を受けることができます。ちなみに自分は狩猟と標的射撃で所持許可を受けています。

 この中の標的射撃というのは、いわゆる『クレー射撃』です。ライフルやスラッグガンなどは的を狙う精密射撃にも使用しますが、一般的に標的射撃と言えばクレー射撃となるでしょう。

●実際にクレー射撃に使用している映像

 コチラは実際にこの銃を使用してクレー射撃を行っている映像です。競技種目はフィールドトラップという競技です。

 トラップ銃なのでトラップ競技に使ってみたのですが、さすが専用銃、ものすごく使いやすいです!自分は射撃めちゃくちゃ初心者なのですが、面白いくらいに当たります。

●射撃に使用する『実包』とは?

 銃は弾が無ければ当然使えません。では散弾銃の弾とはどういった物なのでしょうか。

 法律的な呼称では『実包(じっぽう)』と言います。実包とは、火薬と弾丸が薬莢に詰められて射撃ができる状態になった物を指します。これ以外にも弾丸の部分が無く、火薬だけの状態になってる物を『空砲(くうほう)』と呼びます。こちらは弾丸が包まれていないので射撃はできません。ですが、火薬の破裂音によって激しい銃声はします。

射撃用実包

 クレー射撃に使用する実包です。このような感じでパッケージされています。トラップ競技用ですと一般的に7.5号という号数を使用します。号数は実包の中に充填されている鉛弾の大きさを表します。近距離射撃になるスキート射撃では更に弾丸の粒が小さい9号という実包を使用します。粒が小さい分、沢山入っています。実猟ではほぼ使用しない有効射程距離の短い散弾です。

 実包の購入には警察の許可が必要です。購入個数は許可を申請した時に『実包の消費状況』に応じて決められます。自分は基本的に500~800個なのですが、沢山射撃をされる方や、選手の方などは年間数千~多いと2万発分も受けるとか…!。

実猟用実包

F7.1 SS1/60 ISO-100 0EV 70㎜ PENTAX.K-1 D-FA24-70

 先程の射撃に使用する実包とは違い、こちらは実際に狩猟に使用するタイプの実包です。シェルケースの色は製造メーカーによって異なるのですが、中に入っている鉛弾の粒の大きさは規格によって統一されています。右側に見えるのは4号散弾です。キジやヤマドリ、カモ類などの大きな鳥に使用します。

 左側に見えるのはスラッグ弾(スラグ弾)という実包で、散弾ではなく『一発弾』です。クマ、イノシシ、シカなどの大型獣に使用する大変威力のある実包です。本場アメリカでは狩猟ではなく、立てこもり事件などで突入の際にドアを撃ち破る時に使用するそうです。

 この写真に写っているスラッグ弾はライフルドスラッグという種類で、銃身内に螺旋が切られていないショットガンでもある程度回転を与えてなるべく真っ直ぐ飛ぶように工夫されています。スラッグ弾は種類がいくつかあるのでいずれまたの機会に。

◆狩猟ではあまり使わないかも

 この銃はトラップ射撃という競技専用に設計されています。銃身は長く銃口はやや絞り気味です。つまり、銃口が狭い造りになっています。この造りですと、確かに前に遠くに逃げていくカモなどには有効なのでしょうが、例えば先程述べたスラッグ弾の発砲にはあまり向いていません。大きな一発弾が狭い銃口を抜けていくのは、銃身破裂などの危険が伴うとされています。スラッグ弾の種類によって多少変わってくるのですが、スキート銃というこれより銃口の開いたタイプの銃や、マズルチョークという銃口の広さを変えられるタイプの銃なら問題無いとされています。

 カモ猟では使えるのでしょうが、それ以外ではあまり用途が無いように感じますので、実猟の現場に持って行く事はあまり無さそうです。

F7.1 SS1/250 ISO-200 +0.3EV 35㎜ PENTAX.K-1 D-FA4-70
F5 SS2 ISO-100 +0.3EV 29㎜ PENTAX.K-1 D-FA24-70

 いかがでしたでしょうか。日本で『銃』という存在は馴染みが無く、ただただ危険な存在として今でも偏見を持たれています。

 確かに一歩間違えば必ず取り返しのつかない事になる物です。ですが正しく管理し、甘く考えず、配慮と遵法をもって接すれば決して巷で言われる程危険な物ではないのです。なぜならただの『道具』ですから。

 所持許可を得るにあたって、警察官による厳しい身辺調査が行われます。特に過去の事案から『人間関係に問題を抱えていないか』、『精神を病んでいないか』、『正常な社会生活を送れているのか』などが周辺人物からの聞き取りや、専門医による診断書などで細かくチェックされます。これは道具としての銃が危険なのではなく、『危険な人間がそれを手にする事が危険である』という考え方から来るものです。

 実際にこの銃という存在は昨今の日本において、年々苛烈になっていく獣害から農業を守る役目を担っていたり、射撃という紳士スポーツ文化の発展も担っております(今回の東京2020五輪ではTV中継すらされませんでしたがw)。

 上辺だけで全てを決めるのは悪い癖です。自分はこの狩猟という活動を通して、人と自然の本当の関わり合いの、一番深い所を、大好きな写真を通してここで伝えていきたいと思っています。

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