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2021-12-03

猟場の下見、変わる山歩き

 登山とは多くの場合上(頂上)を目指すものです。ですが自分の登山の多くは『奥』を目指すことが殆どです。時に山菜採りだったり、時に未踏の地の探索だったり、時に狩猟だったりと。

 山頂を目指す登山ももちろん楽しいですが、こうやって人とはまた違った山歩きができるのも魅力に感じています。ここら辺はライフスタイルの違いが大きいのかもしれません。

 昨今の登山ブームによって今や地元の低山でさえ人でごった返している事が多くなりました。自分にとって山は、窮屈な『人の暮らし』から解放される数少ない場所だったのですが、特にSNSや漫画の影響で山を始められる方がここ10年くらいで一気に増えたように思います。それ自体は全く悪い事はないのですが、自分個人としてはやっぱり人が居ない所へ行きたいですねw^^;

 そんな孤独な山歩きを好む自分の見ている『山の風景』は、お世辞にも綺麗とは言い難いものです。ですが、そこにこそある真実にも時に目を向けてみるととても面白いのでおススメです。SNSで見るようなキラキラした風景はありませんが、多くの人が忘れている何かがあると自分は信じています。

◆狩猟解禁前の山は紅葉の終わりが始まっている

 狩猟の解禁は本州では毎年11月15日と決まっています。地域やその事情によって異なる場合もありますが、大半がこの日です。そして年が明けて2月15日までが狩猟期間となっています。新潟ではシカ、イノシシに関しては3月15日までとなっています。

 そんな狩猟の解禁日、今年は月曜日という事もあって有給などの概念が無い我が職場では完全に出遅れる事になりました。曜日が悪いですね~(汗)。

 下見ぐらいならと13日の土曜日に足慣らしも兼ねて山歩きとしました。主にヤマドリを意識しての探索です。

●天候には恵まれなかったけど、何気に良い紅葉ハイク

F11 SS1/60 ISO-200 -0.7EV PENTAX.K-1 D-FA24-70

 あらま~随分綺麗に紅葉しているですこと~。実はこの下見に行く少し前に新潟県中越地方の粟ヶ岳に登山に行っているのですが、今年は紅葉が少々遅れ気味だったらしく期待する程の景色にはなっていませんでした。それと比べたらこれはちょっとテンション上がる感じですw。

F7.1 SS1/60 ISO-200 -0.3EV PENTAX.K-1 D-FA24-70

 当日は非常に天候が悪くて、スッキリカラフル!…と、いう訳にはいかなかったですが、コレはコレでなかなかオツな景色といいますか。

F7.1 SS1/100 ISO-800 -1EV 70㎜ PENTAX.K-1 D-FA24-70

 林道をどこまでも登っていくと、渓谷が見渡せる谷の上に出ます。数日の雨の影響で増水していたのか、普段は無い滝ができていました。ここは滝の形こそできているので、雨の度合いによってはこのように水が流れているようです。

F9 SS1/100 ISO-800 -1EV 70㎜ PENTAX.K-1 D-FA24-70

 もう少し登ってみました。気によってはもう結構落葉が進んでいて、秋と言うよりは初冬の風景にも似た景色になっていました。昼間なのに重く暗い空模様の影響でとても寒々しくなっていました。

 この風景も天候や日差しに恵まれたらまたどんなに綺麗だったことだろうとは思ってしまいます。ですが、これがリアルです!。

●晩秋の哀愁

 紅葉の時期にはちょいとばかり遅くなった分、最盛期と違って哀愁漂う一味違った風景を楽しめるのが今回の山歩きの一番の見どころでした。

F6.3 SS1/60 ISO-400 -0.7EV PENTAX.K-1 D-FA24-70

 荒々しく幹枝を伸ばす木々。夏の時分には葉が茂り実態が見えない部分でもあります。特に老木はこんな風に苔むして、そのいで立ちに歴史すら感じます。

F5 SS1/100 ISO-800 -0.7EV 24㎜ PENTAX.K-1 D-FA24-70

 林道の斜面に季節外れの目立つ色。これを見てなんの植物か分かった人はかなりの山菜通です。

 随分鮮やかな緑です。もう11月も半ばに差し掛かるというのに近年は、温かい日が続きやすくなった影響でこのように遅れて出た芽が開いているのが目立つようになった気がします。これも温暖化の影響でしょうか。

F3.5 SS1/100 ISO-200 -0.7EV 60㎜ PENTAX.K-1 D-FA24-70

 コチラはこの時期本来のあるべき姿です。この植物の正体はゼンマイでした。野に開く植物を最後まで見届ける事ってまず無いと思いますが、短い季節を精一杯生きた最後の姿はとても尊いです。

◆本格的な探索

 フィールドやエリアと言った猟場全体を広く見たあと、そこから場所を更に絞ってポイントごとに場所を覗いていく感じで獲物を追います。

 今回はヤマドリを意識してポイントを探っているので、沢が絡むような所を多く除きながら進んでいきます。

●沢の傍は結構緑が濃く、ヤマドリの餌が長く残っている事が多い

F22 SS1/2 ISO-100 -5EV 50㎜ PENTAX.K-1 D-FA24-70 

 先程までの場所とは違って、シダ類を中心にかなり緑が残っています。広葉樹の落葉は進んでいるのですが、赤い木の実などはまだ結構枝についているような状態です。

 木の実が無くなる頃ヤマドリは、このような所で葉物を餌にする事もあります。

 どうやら同じ事を考えている人が他にも居るようですね。

 弾種は5号散弾、メーカーはおそらくレミントン…狙いはヤマドリで間違いなさそうです(号数が大きくなるほど弾粒は小さく多くなる)。この辺りにはキジバトも沢山いますが(キジバトは狩猟鳥獣)、もっと小さい弾を使用します。逆にクマなどの大型獣にこの散弾はほぼ効きません。自分はヤマドリやカモ向けに4号弾を備えていますが、5号散弾はある程度近射向けです。広い沢ではないので、足元から飛び出した(或いはガンドッグが踏み出した)事を想定しているのでしょう。

 空薬莢はプラスチックです。この後持ち帰り、自分が適正に処分しました。

●山と里のあいだ

 ひとしきり探索を終えて下山しました。道中ちょっと道を変えて集落の方へ立ち寄ってみたのですが、そこにはなかなかに悲惨な光景がありました。

 小さな休耕田がイノシシのヌタ場にされていました。

 かつての新潟ではイノシシなど生息していなかったのです。雪が深く積もる新潟では、足の短いイノシシでは雪に埋もれて冬を超える事ができなかったからです。

 ところがここ10年程でかなりその頭数を増やしてしまい、今となってはその生息数は県内で1万頭を超えると言われています。

 ここは集落からもさほど離れておらず、休耕田とはいえ私有地ですから、仮にここに現れると分かっていても忍び猟で発砲する事はできません。ここら辺の問題が結局、『ハンターだけを増やしても獣害対策にはならない』事の真実になるのです。

 山に居ると思われがちの獣達も、本来なら人間が居るような平野部で生息しているのが普通でした。人間の台頭によって住処が山の方へ移っただけです。

 ですが山は、一般的に見られている程豊かな場所ではありません。一見そう見えても、実際に食べられるものなど殆ど無いのが実態です。

 実はそのなかで更にハンターが猟圧をかけると、尚の事更に獣が里へ下りてしまうというジレンマを発生させてしまっていると言われています。

 里山という緩衝地帯が失われた事が獣害の原因として分かりやすく伝えられていますが、実態はもっと複雑なものです。狩猟には強い規制がかけられています。駆除をハンター任せにする事はいかがなものかと思いますが、頭の固い日本ではまだしばらくその頭を抱えそうですね。

 以上、猟場の下見を兼ねた山歩きでした。

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