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2022-01-13

自然と共に在りたい、ハンターとしての自分から見た世界感

 日本では猟期が11月15日~翌年2月15日(地域の状況によって変動する場合もある)となっています。この時期の野山は紅葉に彩られたり、雪が降れば冬山が本格的に始まったりと、季節の変化が大きい時期でもあります。

 猟期が冬場になっている理由は色々あるのですが、定めているベースは日本では『縄文時代』にあると言われています。狩猟と採集が主なライフスタイルだったこの時代、冬はヤブも落ちて見通しが良くなり、殆どの生き物が繁殖期を終え、冬を超えるために肥え太り、渡り鳥なども沢山やって来るまさに狩猟適正期でした。

 そんなわけでこの時期は自分も縄文人よろしくハンターへ変身しますが、縄文時代のそれと違って生活の糧を目的とするにはさすがに難しい世の中です。縄文時代とかなら基本的に毎日出猟しないとドエライ事になるのでしょうが、現代人の自分は当然会社勤めもありますし、少ない休日は家の事をやらなければならなかったりと、狩猟に割ける時間にはかなり限りがあります。

 ですが『自然と共に在りたい』という気持ちが子供の頃からの自分の一番素直な気持ちです。そこにはいつでも忘れてはいけない大切なことが沢山あります。

目次

◆『登山』とはまた違う、山の生態系の一部になる感覚

 山の中には沢山の鳥や獣が住んでいます。人間が山に入る時は基本的に登山道のような道を使いますが、ハンターは獣を追わなければいけないので登山道はフィールド内を横移動する時くらいしか通りません。

 もちろんいろんな危険が伴いますが、それ以上に登山道だけ通った時とは『見えてくる物』が違ってきます。

●獣目線の山歩き

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 この日はヤマドリを追っていました。なかなか出会えないハンターにとって憧れの存在です。ヤマドリはこんな感じの沢を登りながら探すことが多いです。沢のそばにヤブが絡むような所でよく遭遇します。

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 これはこれは…コゴミ(クサソテツ)です。この日はもう11月の終わり、こんな時期から芽を出し、フキノトウのように雪の下で春を待つのでしょうか。自分はこの時期のこのような状態の物を初めて見ました。

 そういえばヤマドリは餌が乏しい冬の間、冬季でも葉を茂らせるシダ類を食べて過ごしているそうです。ひょっとしたらこれもヤマドリの貴重な冬の食料になっているのでしょうか。

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 ヤママユガの繭。中身は既に羽化した後です。この形のまま沢の流れの中に堆積した落ち葉の上に乗っていました。どこからか枝と共に流れてきたのでしょうか。ヤママユガの時期は夏の終わり頃だったかと思いますので、この繭のヌシはきっともうこの山に還っている事でしょう。新しい命になって生まれ変わってくれる事を祈ってやみません。

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 こんな風にキノコがポコポコと出ているのを見るとなぜか嬉しくなりますね^^。ナメコ…とはなんか違う…。昔知り合いと一緒にナメコ採りに行ってた事がありますが、その時散々見たナメコとなんか違う気がするんですよね(汗)キノコって、見慣れたり食べ慣れたりしても見つけたタイミングや状態でなんか分からない時が結構あるので、事故らないように安易に手出しはしていませんw。マイタケくらい分かりやすかったら良いのですが。

 これは…!冬虫夏草!…に、なるかもしれない昆虫の亡骸。

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 ヤマアカガエル。原生林が広がる山ではよく見かけるカエルです。ヤマドリはこのカエルも捕食します。昨今温暖化とは言え、さすがにそろそろ冬眠しているだろうこの時期、これはヤマドリに出会える可能性が高そうです。

 獣の目線はキホン低いです。足跡などのフィールドサインや、追っている獲物のエサなどを探しながら歩くと必然的に目線が低くなります。普通に山歩きしているだけならここまで下ばっかり見る事はないと思います。

 足元に広がっているのは案外、宇宙くらい広い世界だったりして。

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◆フィールドは繰り返し通うもの

 一度や二度訪れただけではなかなかそのフィールドの事は分からないものです。ある程度自然の事に慣れていれば初見のフィールドでも結構いろんな要素を拾えるのですが、やはり何度も繰り返し通ってその場所を理解する必要があると思います。

●探索範囲は少しずつ広げる

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 場所は同じでも状況が同じ日は殆ど無いです。なので何度も同じ場所に通ってみて、どんな変化が日毎に起こるのかよく観察するのが良いと思います。特にヤブが落ちるこの時期、夏場には気付かなかった新しい発見が山ほど見つかります。

 いつも来ている所から少し探索範囲を広げてみたところ、クマの爪痕を見つけました。見たところ数か月程度かな?そんなに古い痕跡ではなさそうです。これがあるということはここにはクマが餌を探しに来ていると言う事になります。そして時期はもっと早い頃のようです。猟期に入ってからここでクマと遭遇する事は無さそうです。この時点でこの木には、木の実はおろか木の葉すらあまり残ってはいませんでしたから。

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 ここは個人的にお気に入りの場所。両サイドの斜面の圧迫感がなんとも言えない不気味さを醸し出しています。ここでは何度かヤマドリと遭遇しました。条件としては最高の場所なんですが、狭そうに見えるこのポイントは尾根を挟んで更に別の沢がすぐそこにあったり、尾根を登ると植生が変わったりと、ヤマドリがあまりここに留まる事は無さそうです。これだったらもう少し開けたポイントを探した方が無難のようです。

●良いポイントを見つけたら留まって様子を見てみる事も

 良さそうな場所が実は通り道にすらなってなかったり、逆にそうでもなさそうな場所では必ず決まった時間帯に姿を現したりと、やはりその辺も通わないと分からない事が沢山あります。

 ちょうど腰を掛けて、尚且つ銃もかけられる場所があったので留まって様子を見てみました。もちろん、短時間で何か起こるほど自然界は狭くありませんが、ここは斜面に囲まれている割には意外と風が当たる事、どの位置でシノビをかけてもどこからでも姿を現す可能性がある事からあまり使い勝手は良くないポイントである事が分かりました。『待ち』より『流し』の方が良さそうでした。

◆進む季節、冬の足音

 何度か通って、何度か遭遇して、何度か発砲したものの、猟果にはなかなか繋がらないものです。シーズンの初めから探索をかけていたこの場所は、雪が降ると非常に入りづらくなるのでそれまでに可能な限りアタックをかけます。

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 この日の朝は非常に冷え込んでいました。気温はマイナス、とうとう雪までちらついてきていました。

●雰囲気はより一層不気味さを増す

 秋ってなんだかんだ言って、紅葉とかキノコとか結構賑やかなので、そこだけ感じているとまるで冬なんか来ないみたいな気持ちになったりするのですが、いざ紅葉も散ると森の木々はまるで白骨化したみたいになってなんだか不気味な雰囲気になるんですよね。

 フィールドに入るまでは何となく『冬の森ってやっぱり不気味だよなぁ…』なんてなんかチョット怠い気持ち(出発が真っ暗な時間帯だからか?)だったりするし、実際に行くとどんよりした森の様子に軽く引き気味で装備を整えるのです。

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 案の定向こう尾根は樹氷状態。雷もドッカンドッカン鳴って凄い事になってきた。こちらとしては獣に気配を取られにくくなるので割と好都合(と、自分は思っている)なのですが、天候も考慮して深追いは禁物です。

 程なくしてBB弾程の雪粒がバチバチと白骨化した森を叩き始めた。担いだ銃がキンキンと音を立てる。

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 雪は益々強くなります。さすがに荒れすぎなのでこの辺で撤退を決めました。

 が…!沢の反対側に素早く走る影!目で追いながら薬室に装弾、照星を当てた瞬間飛び上がって沢の真上を下る…!

 銃声が二発、轟く雷鳴、長い尾羽をなびかせながら優雅に飛び去る火の鳥。固い雪粒が、熱くなった銃身を叩く音だけがこの場所に残った。

 悔しくはなかった。嘘でも強がりでもなく、それだけ敬意があったのです。

◆フィールドを去れば所詮ただの凡人、それでもこの感覚の中に居たい

 特段成果も無い猟行記となってしまいましたが、ハンター目線の山歩きが伝わったでしょうか。イマイチなら自分のコンテンツ作りの能力の問題なので致し方ありません^^;。

 一番伝えたかった事は、人も自然の一部である事。そしてそれを実感できる条件はとてつもなく限られている事。

 毎日ひたすら会社に通っては『なんの為に生きているんだろう』なんて考えています。現在進行形です。それはきっと自分だけではないはず。

 こうやって時々野生の中に自分自身を放り込むと、ようやく自分を確認する事ができます。魚釣りでも同じ事が言えるのではと思います。

 今はまだ粗削りもいいところですが、何かを伝えられる日が来るようにセンスを磨いていきたいです。

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