このブログでもすっかりお馴染みになったフィルムカメラのOLYMPUS・OM-1。高性能なデジカメと比べるまでもなく、かと言ってインスタントカメラとも全然違う…なんというか、『本物のカメラ』と言える存在として自分の中で大きくなっています。
インスタントカメラで撮影した写真が昔っぽくてエモいと若い方に人気ですが、なんせこのカメラ、昔っぽいを通り越して完全に昔のカメラです。40年以上前の物です。エモいとかそう言う次元じゃなくて、なんならゾンビですよw。今のように使えるようにするまでそれなりに時間もお金も掛かりました^^;。
これまでは実験的な撮影ばかりでしたが、今回からようやくノビノビと撮影する事ができました。とってもいいカメラです。このカメラで春の風景を撮ったらどんな写真になるのだろうと、なんだか初めてデジタル一眼レフを持った時のようなワクワク感のまま、それでも限られた枚数しか撮影できない緊張感を連れて撮影してきました。
結果的にはまだまだと言った所でしたが、試し撮りから解放されて好きなように撮れるのは純粋に楽しかったです!。フィルムカメラでも基本は同じ!、光を意識する・真っ直ぐ構える・ピントをバッチリ合わせる・ブラさないように撮る…古いカメラが教えてくれた基本の大切さ。フィルムに焼き付けた春の風景と共に綴っていきたいと思います。
目次
- ◆フィルムカメラの醍醐味、焼き付けるという感覚で撮る写真
- 春霞の街
- 夕景の中の風物詩
- 月を見上げる梅の花
- 咲き誇るフキノトウ
- 懐かしさこみ上げる時
- ◆春の花々、色のある風景を撮る
- 菜の花絨毯
- 人知れず、盛大に
- 初夏の気配
- ◆春の象徴、桜
- 待ちわびた季節
- 青空、桜の下、人々の声
- 見上げると眩しくて…
- モダン桜
- 桜とチューリップの咲く所
- ◆まとめ
- 基本の大切さ
- 心の持ち方
◆フィルムカメラの醍醐味、焼き付けるという感覚で撮る写真
デジタルセンサーと違ってフィルム写真はまさに『焼き付ける』という言葉が良く似合う。光が焼き付くって、冷静に考えると凄い事が起きますよね。これを発見した人類に乾杯です^^。
●春霞の街
良く晴れた万代シティの朝。空は晴れているのに春霞が広がって不鮮明な感じが、新しい季節の始まりの不安な感じと、霞の中を乱反射する光が沢山の希望を現しているようでなんとも心が洗われるような風景でした。
ポイント
昔インスタントカメラとかで撮った広い風景写真って、大体こんな感じに仕上がって、彩度やコントラストは低いので当時はあんまり綺麗な写真とは思っていなかったのですが、こうやって改めて見るとなんだか懐かしさがこみあげてくるようです。
この表現、デジタルでは綺麗に撮れ過ぎて逆に難しいのかもしれませんね。富士フイルムのXシリーズとか凄い良い表現ができますが。
昔の写真雑誌とかに掲載されていた作品は殆どが高価なリバーサルフィルムで撮られた高精細高彩度の写真でした。あれと比べたら確かにこれは当時つまらない写真だったかもしれません。一周回るってこういう事なのか…。
●夕景の中の風物詩
新潟ではこの時期風物詩と言えますね。古いトラクターなので、蒼が霞んだ空に、夕日に照らされる姿をフィルムに焼き付けるとつい先日の撮影とは思えない程ノスタルジックです。
ポイント
左側がチョット何か見切れています。撮影時にフィルムが行き過ぎたのか、CD化する時にフィルムがずれていたのか。こんなハプニングがあるのもある意味フィルムの楽しい部分だったりもします。
夕方の温かい空気感が上手く焼き付けられたと思います。デジカメだとホワイトバランスで調整するのですが、なんか上手くいかなくてやたら黄ばむか青ざめるかする事が殆どな気がします。
●月を見上げる梅の花
空には三日月が昇っていました。駆け足で過ぎ去る春を追いかけるように散り始める梅の花が月を見上げている。枝の間から見上げるとなんとも小さな月。フィルムに焼き付けた空は、子供頃見た空そのものでした。
ポイント
見上げるような格好で手持ちで撮影しました。70㎜のチョイ望遠があったのでそっちで撮れば良かったと少し後悔。思いのほか月が小さく写ってしまいました。
ピントは結構合っていると思います。手持ちだったのでチョットした事ですぐにピントのヤマからズレてしまうので、こんな時はシャッターを切るまで息を止めておくのです。
絞りはそれなりに意識したつもりでしたが、被写体の距離がありすぎてあまり意味が無かったですw。
●咲き誇るフキノトウ
土の下で冬を耐え忍ぶフキノトウは、その忍耐強さとは裏腹に雪解けを待たずして顔を出します。駆け足で過ぎ去る季節を追いかけるように、太陽に向かって花を咲かせていました。
ポイント
柿の木の下に沢山のフキノトウが出るのですが、密集度がなかなかで構図をもっと勉強すれば圧巻の風景写真にできそうです。
この時期西日が思いのほか強く射して、露出の加減をもっと押さえて撮れば良かったと思います。そうすればもう少し日差しの柔らかさが表現できたのかな。それとも、ソフトフィルターを使った方が良かったかな?
●懐かしさがこみ上げる時
春という季節は終わりの季節。これまで幾度となく過ごした春はいつも、こんな風に夕日が沈んでいくように過ぎ去っていきました。
ポイント
完全に逆光だったのでかなり絞りました。シャドウを強調したかったのですが、デジカメと違ってレタッチもできずどうしたら良いかと思案しました。結果、シャッタースピードをなるべく早い方に持って行くでした。
逆光とはいえ日も傾いてしかも正面は日陰、実は露出計が指し示した値ではもう少しスローシャッターの方が良かったのです。絞りを開けるのも良かったのでしょうが、入れる光を夕日に集中して、それ以外はあまり焼き付けないように自分なりに考えて露出設定を行いました。
自分的には表現したかった夕日のある風景を上手い事焼き付ける事に成功したと思っています。
◆春の花々、色のある風景を撮る
デジカメと違ってカメラの設定で彩度を上げたりコントラストを調整したりができないのがフィルムカメラです。昔は彩度が高いフィルムを使うとか、PLフィルターを使うとかで調整していました。
フィルターに関してはデジカメ主流の今でも多く使われていますが、レタッチができる現代は表現は自由自在だしコスパも良いしでなんと良い時代なのでしょう。
そんなレタッチの便利さを完全に捨てて、フィルムカメラで撮る風景はどんな風に写るのでしょうか^^。
●菜の花絨毯
春の福島潟には、絢爛に咲き広がる菜の花畑が沢山の人を魅了します。霞む景色の向こうに残雪の山々を称え、鮮やかな菜花の黄色はまるで、ぬくもりあふれる季節の訪れに歓喜しているようでした。
ポイント
肉眼で見た景色とほぼ一致していると思います。春霞の向こう側の景色に光が乱反射して白飛びになってしまった以外は^^;。あとは遠慮せずにもっと絞りをキメれば良かったかなと思います。と言うのも、真ん中の列らへんにピントを合わせたつもりなのですが、それらも含めて全部潰れてしまっています。
以前にも経験していたのですが、奥行きがある風景を撮る時、ピントその物は思ったよりも手前に合わせる方が良いようです。ファインダーではピントが合っているように見えても、さすがに真ん中らへんでは距離があり過ぎました(汗)。
それならもっと手前にピントを合わせて、絞りを11くらいにすべきでした。せっかくの良い景色なのに反省です。。。
●人知れず、盛大に
あふれる光を浴びてミツガシワが春の空に手をいっぱいに広げていました。煌めく水面に映る可憐な白い花の絨毯は、鮮やかな菜花達のように人の目を引く事は無くひっそりと潟の片隅でその命を咲かせていました。
ポイント
たまに山菜採りで入る所の沼地のような場所で見かける事もあるミツガシワ。大昔は胃薬にも使われたらしいですね。白い花が綺麗に咲き揃っていたので迷わずシャッターを切りました。
三脚をおっぴろげて低くし、ピントは一番手前の列に…奥の背景はボカしたいと思ったので絞りは開けて…どうなるか分からないけど前ボケを入れて…いざレリーズシャッター!。割と上手く撮れたと思います。白飛び覚悟で絞りを空けたのですが、シャッタースピードがMAXだと案外飛ばないようです。
それにしても皆さん菜の花畑に夢中でこういうのを見逃している訳ですが、なんだか勿体ないと思います。
●初夏の気配
菜花が絢爛に咲き誇り人々を魅了している頃、少し離れた所では既に初夏の花がその鮮やかな花弁を広げ始めていました。まだ殆どの人が気付いていない季節の移ろい。いつの間にか過ぎ去る日々に思い出を焼き付ける。
ポイント
水面に反射する光にもうはると言うよりは夏の雰囲気を表現したいと思いこの構図にしました。このサワオグルマという花はもっと初夏めいた五月の中旬から下旬にかけて咲き始めるイメージだったのですが、近頃の温暖化の影響もあるのでしょうか、少し早めに咲いているように感じました。
この状況ですと、絞りを効かせると絞り羽の形が反射した光の形を決めるのですが、迷った挙句微妙な絞りにしてしまいました。光の玉は六角形になっていますが、10くらい絞れば多分もっと星形になったと思います。
◆春の象徴、桜
春と言えば桜、過去の撮影の記録を見ながらフィルムではどんな風に撮ろうかと日々模索していました。ついついデジイチの感覚で撮ろうとしてしまいますが、はてさてどんな風に写るのやら。
●待ちわびた季節
日本の春を象徴する桜の花は、南方から季節の風と共に雪国まで冬の終わりを告げ、盛大に咲き誇る季節は矢のように過ぎ去って、気が付けば一時の夢のようでした。
ポイント
春の写真と言えばやっぱり桜でしょう。写真雑誌なんかもこの時期こぞってテーマにしていますね。正直デジイチで撮影しても上手く撮れなくて色々限界を感じていました。こうやってフィルムで撮ったものを見ていると、いかに大事な事を見失っていたかを思い知らされます。
●青空、桜の下、人々の声
沢山の笑い声が聞こえる。穏やかに語らう声が聞こえる。一瞬の時を精一杯生きている。
ポイント
もう一段絞りを開ければ良かったように思います。でもシャッタースピードがMAXになるのでひょっとしたら暗い所がもっと暗くなったかも…。咲き誇る桜の広場に人々が集まる様子を切り取りたいと思いました。概ねイメージ通りに撮れたと思います。
空の色が思ったより薄くなってしまったのはフィルムの性質でしょうか。ホントはもう少し青かったのですが、コレはコレでフィルム写真の感じが出て良いですね^^。
●見上げると眩しくて…
人々の心を惹きつけてやまない桜花の空。目も眩む陽光の中、短いその命を燃やしている。こんなに華やかなのに、雨風に晒される散り際に、盛者必衰の理を見る。
ポイント
太陽に対して結構斜めに構えて撮りました。レンズのフレアがもっと出る予定だったのですが、予定は未定…現像してみるまで分からないのがフィルムカメラの良い所。結果、そこまでフレアが活躍してくれる事は無かったです^^;。
狙いはハズレたものの、ピントの基準にした桜の花は綺麗に写し止められていますし、満開の花の木漏れ日が柔らかく広がって雰囲気はとても良くなったと思います。最初に狙った思惑と、実際に出来上がったものと、それを見た他の誰かと…自分でさえ感じ方が安定しないのだから、感覚を磨くのは大事なんだなと勉強した一枚になりました。
●モダン桜
泣き出しそうなを見上げ、散り際を感じる花々の立ち姿。『もう少しでお別れです』そんな声が聞こえた気がした。
ポイント
曇り空が桜の印象をより深くしてくれた一枚だと思います。本当はスカッと晴れた空を背景にするのが一番撮りたかったのですが、さすがにもうそれは無理っぽいのでこの中でどうやったら良い一枚を焼き付けられるか考えてみました。
この桜、実は見た目以上に距離があります。絞りはほぼ開放値の(開放値は1.8)F2.8ですが、背景のモダンな建築物のボケ具合が絶妙に仕上がりました。ピント位置は一番手前まで来ている枝に合わせたのですが、被写体がそこそこ離れてたお陰で開け気味の絞りでもそれなりに良いピント感になったと思います。
●桜とチューリップの咲く所
新潟には桜とチューリップが共演する所があります。あいにくの曇り空の下、それでも笑顔を振りまいているチューリップの花々を見て、幸せとは何かを教えてくれていました。
ポイント
主題はチューリップだったのでそちらにピントを合わせました。これまでの自分だったら絞りを開けてボカシを甘くするか、もっと後ろに下がって画角の中に桜をガンガン入れ込んだと思います。写真に慣れている方なら当たり前なのでしょうが、自分のような下手の横好きは主題を絞る事に結構な度胸が要るんですw^^;。
青空じゃないのが少し心残りですが、これも結構お気に入りの一枚です。ピントが合っているのが花一輪って、なかなか粋じゃないですか?。
◆まとめ
いかがでしたか?フィルムカメラを使ってみたくなったでしょうw。デジカメには無い魅力が沢山あるフィルムカメラ。アコースティックギターのような使い心地はデジタルではなかなか再現できないでしょう。
●基本の大切さ
基本はやっぱり光を意識し・真っ直ぐ構え・ピントをしっかり合わせ・ブレないように撮る。それはデジタルでもフィルムでも同じですね。特に手振れ補正とか無いフィルムカメラでは、手振れしないシャッターボタンの推し方とか、三脚の重要性とか、より実務的な部分を再確認しました。
●心の持ち方
手軽に沢山撮れるデジカメと違って、一枚一枚に対してどのように撮るのか真摯に向き合い、限られた枚数と撮り直しや手直しが効かない撮影に心地よい緊張感もある。デジカメが便利で高性能すぎて完全に忘れていた事です。
これからはデジイチでの撮影でも、フィルムで一枚を撮る時のように写真と真摯に向き合う姿勢を意識して持つようにしたいです^^。
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