自分が住んでいる新潟県はコハクチョウの飛来数が日本一の県だ。他県の方の中には新潟県=トキのイメージが強い方もおられるだろうが、実は新潟は県内どこの地域に行っても白鳥が居る『白鳥県』なのだ。
平成30年1月の白鳥類の飛来数の統計は22,683羽で、二位の宮城県の12,946羽、3位の山形県の7,727羽と比べてもかなり多い数字になっている。新潟は白鳥がねぐらにするための潟が多く存在しているのが一番の要因。それらは公園として整備されていて、間近で野生の白鳥を観察することができる。にいがた観光ナビさんのHPで場所と飛来状況を見る事ができる。
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自分は新潟市から近い瓢湖へ、時期になると頻繁に出かける。雪に包まれた五頭連邦や二王子岳と白鳥の湖のコラボはとても絵になる。
雪山をバックに飛び立っていく白鳥の姿は尊く感じる。まさに冬の使者。雪国ならではの光景と言えるでしょう。
白鳥の動きは結構大きい
そんな白鳥の写真と言えば、翼を大きく広げたものが誰の目にも印象に残るのではと思う。コハクチョウとは言え翼を全開に広げると2メートル近くにもなるとか。そんな大きな翼を広げて飛び立っていく姿は、特に群れで一気に飛び立つ様は結構な迫力だ。バタバタと助走をつけて飛んでいく姿は写真に収め甲斐がある!
望遠レンズを一脚で立てて流し撮りするのは、自分自身も躍動するので撮ってる楽しさもある。
水を蹴って風を叩く音が凄い。コハクチョウで体重が約7kg程らしいが、チョット重い鉄アレイくらいの体を水面から大空めがけて飛び上がらせるなんて、なんというパワーだろうか。一見穏やかに見える白鳥だが、その動作は力強いものが多い。
実はケンカもよくしている
湖にいる白鳥は優雅に水面を漂っているように見えるが、一度スイッチが入ると意外と激しい一面を見せる事がある。特に湖に居る時に多く見られるように思うのだが、割と頻繁にケンカしているのだ。
白鳥なんてタダでさえデカいのに、こんなのが派手にドッグファイトなんかすればもう水しぶきも飛ぶし周りにいるカモ類からも大ヒンシュクだ。そんな白鳥のケンカも嚙むわ叩くわ追い掛け回すわ、そして周りが囃し立てるわと、激しいのなんのって。
こうやって改めて自分の撮った白鳥写真を振り返ってみると、ケンカしているシーンをよく撮っているなと、思う。
実は白鳥がケンカを始めるのに前触れがあって、甲高く鳴き合わせをしながら数羽がゆっくりと近付き合う。そのまま鳴き合わせて終わる事もあるが、鳴き合わせがエスカレートしていくといきなり大暴れが始まる。
それなりに長い事白鳥を観察してきているが、いまだにこのケンカ勃発のメカニズムがよく分からない。田んぼに居る時も鳴き合わせをやっているのを時々見かけるが、そのままケンカに発展しているのを見た事が無い。やはり水辺に居る時だけしかケンカ騒ぎを見た事がない。いずれ詳しく調べてみようか。
翼を広げるのはパーソナルスペースの主張
多くの鳥類で見られる動作の一つに『ただ翼を広げる』という行動が見られる。我が家のオカメインコもケージの中でよくやっているが、これはつまり『ここは自分の場所、近付かないで!』と、言っているのだ。
この写真はケンカ勃発直前の状態だった。ケンカが始まるのはパーソナルスペースの主張と関係があるのだろうか。
こんな風に纏まってスペースを主張し合う事もあるみたいだ。
白鳥は群れで生活する生き物だが、一人一人の生活圏は大切にしているように思う。それでも生存率を上げるためには、やはりある程度群れで生活しないといけないのだ。白鳥も基本的には捕食される側の生き物なので、仕方無いのだろうが…自分もあまり人々の中にいるのは好きじゃないので気持ちはよく分かる。
そんな白鳥の性格も考えて観察してみると、他の人とはまた違った瞬間を写真に収められるのではと思う。
瓢湖はカモに支配されいる
新潟県阿賀野市にある瓢湖は白鳥で有名だが、現実は『カモ類が支配するカモの湖』だ。餌の時間のなるとそれはすさまじいものがある。
もはや白鳥に餌を摂るスキは無い。主にマガモ、オナガガモ、ヒドリガモがオスメス入り乱れて文字通りの揉みくちゃだ。
白鳥の背中に乗るカモの図々しさもさる事ながら、それを意に介さない白鳥自身もまた凄い図太さに思う。(白鳥同士は近付くことを嫌がるのにね)。
白鳥の湖としてラムサール条約の登録湿地にも選ばれたのにガッツリとカモに支配されているのもまた面白い。
それでも優雅な白鳥達
今回は結構激しめの白鳥写真が中心になったが、やっぱり穏やかに過ごしている白鳥の姿は心も静かにしてくれるようだ。ただ眺めているだけでも静かな時間に変えてくれる。
新潟県の湿地帯では、特に瓢湖では白鳥が餌付けされる事で保護が推進されている。そして観光産業としても寄与されている。そんな白鳥達を取り巻く環境も、時代と共に変化してきた。今回は特に触れなかった面があって、いずれは記事にしたいと思っている。白鳥は新潟県民にとって、スズメくらい身近な野鳥だったりする。そんな白鳥にも、なかなか切ない事情があるのだ。
白鳥撮影は『白鳥と環境への配慮を最大最優先に』
白鳥は被写体として、特に野鳥の分野では初心者から玄人まで誰でもその美しい姿を収める事ができる最高の被写体だ。瓢湖のような公園では手の届く所まで近付いてくれる。こんな野鳥、自分はいいとこハトぐらいしか知らない。小さな子供との触れ合いもできて、思いやりと命の大切さを学ばせてくれる良き先生だ。
そんな白鳥が集まる所は得てしてその環境そのものが保護された場所である事が多い。時々不届き者の話を聞く事があるが、絶対にあってはならない事だと断言する。特にデカいカメラを持っているとそれだけでヒンシュクを買うようになった時代、尚更その所作には気を付けなければならないと思う。
窮屈にガチガチに構えれば、次第に他人の上げ足まで取り始めるようになると身も蓋も無い事になってしまうので、バランスが難しいところだ。
結局、自然は自然のまま写真に収めるのが一番良いのだ。
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