毎年我が家の庭では七月の中頃からお盆過ぎくらいまでアブラゼミが地面から出てきては羽化して飛んでいきます。
今年は始まりはやや遅く、ひょっとしたら少ないかも…?と心配していましたが、梅雨名残も過ぎて次第に土を割り始めました。
◆静かな夜のセミの羽化
『今夜は風の無い満月の夜だな…今夜こそ出て来るかな…?』
七月の終わり頃、この日まで何度か夜に庭に出ては、サナギが梅や桃やキウイの木に登っていないか見ていました。今年は梅雨が短かったり、気温が乱高下したりと新潟も憂鬱な展開が続いていたのですが、明日には八月になろうかというタイミングでようやくそこかしこでセミの合唱が始まっていました。
居ました!キウイの木の棚にツタ類の花が絡んでいるのですが、そんな難儀な所を縫ってなるべく高い所にのぼり、羽を伸ばしていました。
細いツタをしっかりと掴みながら、ゆっくりじっくり羽を伸ばしていきます。
●この日は一斉に羽化を始めていた
一匹出ていると大体近くに何匹か出ているものです。
居た居た♪きの枝ではなく何故かいつも葉の部分に取り付きます。枝の方が丈夫で安定していると思うのですが、ぶら下がる形になった方がセミにとって羽を広げやすいのでしょうか?。
カラを破って出たばかりのセミは白くて艶やかでとっても綺麗です^^。色の質感で言ったら…ホワイトチョコってところでしょうかw。
完全体になったアブラゼミも羽を休めていました。ここ2、3日で羽化したセミかな。
結局この夜は計6匹のセミの羽化を確認しました。ひょっとしたら全く出てこない年になるんじゃ…なんて思っていましたが、この感じなら今年も沢山羽化して飛び立って行ってくれそうです。
◆セミの抜け殻がある風景
そんな我が家のセミ達の羽化を無事に見届けて一安心している内に、忙しさに流され矢のように日々が過ぎ去っていく。
沢山のアブラゼミ達が羽化していく我が家には、当然沢山の抜け殻が残されていきます。
セミの抜け殻って、なんだか夏の儚さを表しているように感じます。
何を言っているのかって思いますよね?、自分、変わり者なんでw。
●小さな命の物語
庭に咲いているナルコユリの葉の裏にも抜け殻が残されていました。地面に少し近い所、なんだか頼りない葉の裏ですが、どうやら無事に飛び立てたようです。
この場所は近くに梅の木が立っているのですが、そこへは登らずに少し離れたここへ来たのはどうしてでしょうか。
セミは出てくると結構一生懸命走り回ります。当然ですね、7年も土の中に居たら外の世界がどうなっているのか分かりません。羽化と言う一番命の危険がある状態を一発勝負で挑みます。
羽化まで時間の余裕はあまり無いようです。とにかく早く良い場所を見つけねばと必死です。
地面を走り回っている最中にアリの集団に狩られたりするセミのサナギも居ます。夕暮れ頃まだ明るい時間に出てきては、カラスに獲られるサナギも居ます。無事に羽化できても、捕食されたり車にはねられたりなど程なくして命を落とすものも居ます。
梅の木の下に沢山出来た穴。これはここからセミが出てきた穴です。土が粘土質でやや硬めなので、こんな風に穴が残ります。秋も深まるとこの穴に、アマガエルが入り込んで冬を越します。
セミは約7年、土の中で過ごすと言われます。虫としての生の終わりが近づくと、土から這い出てきて羽を生やし成虫になります。
ではなんの為に成虫になるのでしょう?。ずっとそのまま土の中に居れば捕食や不慮の事故、羽化の失敗でみすみす命を落とす事は無いのに。
すべては『子孫を残す為』です。親が同じように命をかけて繋いでくれた命を自分達も次の世代に繋いでいく為に羽化し、成虫になり、多大なるリスクを背負ってまで夏の大空を翔るのです。
そうやって命を繋ぐと自分は、命を終えるのです。多くの生き物はそうやって自分の死と引き換えに子の命を残していくのです。
たかがセミと思うなら、もっと知ろうとする気持ちを持つ事をお勧めします。その方が絶対に人生が豊かになりますし、自分自身の心が育ちます。
小さな命、短い夏。互いに関わり影響し合って世界はできている。現代人はその摂理の外側。だから敬意を払いたい。
今年も夏が終わっていきます。
コメントを残す