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2020-12-19

三面川の鮭と、巡る命の螺旋

 十一月も終わる頃、移ろう季節の風に誘われてカメラ片手にチョット出かけてみた。この日は特に予定は無かったので、自宅でのんびり過ごすつもりだったけど、そう思っていても毎回ぶらっとどこかへ出かけてしまうのだ。

F6.3 SS1/320 ISO-100 0EV 370㎜ PENTAX.K-1 SIGUMA.APO50-500

 新潟県村上市荒川。シーバスで有名なこの河川は秋は鮭釣りの、春はサクラマス釣りの名所になる。鮭釣りの場合、釣獲調査という事で遊漁券を買うようになっている。釣法は様々だが、所謂ひっかけ釣りの様な釣法が一般的だ。川に入った鮭は捕食活動を辞めるので、餌やルアーでは難しいようだ。

 車で降りやすい河川敷で早速キャストを繰り返しているアングラーが居る。鮭はセンシティブなターゲット、道具や権利にメッチャ金が掛かるうえに、実はなかなか釣れない。自分はやった事ないが昔、別の河川の河口周辺でシーバスやフラットを狙ってルアーをキャストしていたところ、ガツン…!!っと、鮭がヒットした事があった。組合のオジサンが離れた所で見ていたが、『大当たりだったなWw持って帰ってちゃんちゃん焼きにでもしろw』と、笑っていた。中学生の時だった。因みに当時はまだラパラCD7が流行っていた頃、ホロシートを適当に貼って煌びやかにしていたCD7を使っていた。

 荒川ではもう、視認できる範囲に遡上の鮭は居ないようだ…。三面川に行ってみようか。

F5.6 SS1/250 ISO-100 0EV 140㎜ PENTAX.K-1 SIGUMA.APO50-500

 三面川にやってきた。周辺の低山には紅葉が残っていて、ロケーションは最高だった。潮見表をアプリで見ると、ようやく潮が登り始めていたところ。動きが出るのはもう少し時間が掛かるか?

F5.6 SS1/320 ISO-100 -0.3EV 200㎜ PENTAX.K-1 SIGUMA.APO50-500

 ホントにキレイな川だ。普段、新潟市内を流れる濁った河川しか見ていないから尚更綺麗に見える。冬枯れの山々を望みながら、紅葉を背景に…釣りのロケーションとしてはもう最高クラスだ!

 少し散策しながら川の様子を伺っていたが、鮭の遡上シーンを見る事は出来そうにないのでこのまま河川に沿って下流域へ向かう事にした。

F6.3 SS1/1000 ISO-200 0EV 330㎜ PENTAX.K-1 SIGUMA.APO50-500

 三面川の下流には『いよぼや会館』という鮭のミュージアムがある。村上市三面川の鮭と歩んだ歴史の資料館であり、天然の鮭の孵化場も併設され、旧村上藩の財政を支え続けた鮭を未来へ末永く残していけるように活動している。いよぼやは、鮭の事である。

 そんないよぼや会館のある三面川下流には川幅いっぱいにウライと呼ばれる簗場の様な設備が仕掛けられる。落し柵の様な形をしていて、一括採捕の為の設備らしい。流れに負けた魚が、このウライに乗っかって回収される。

F6.3 SS1/500 ISO-200 0EV 500㎜ PENTAX.K-1 SIGUMA.APO50-500

 何度も見た光景、装備や設備こそ現代仕様だが、遠い昔からこれと同じようなスタンスで鮭という恵みを捕獲してきた。その一つ一つに、命の繋がり方を感じる。

F9 SS1/500 ISO-400 0EV 500㎜ PENTAX.K-1 SIGUMA.APO50-500

F9 SS1/400 ISO-200 -0.3EV 500㎜ PENTAX.K-1 SIGUMA.APO50-500
F5.6 SS1/200 ISO-200 0EV 170㎜ PENTAX.K-1 SIGUMA.APO50-500
F6.3 SS1/320 ISO-800 0EV 410㎜ PENTAX.K-1 SIGUMA.APO50-500

哀れに見えるかい。それとも、恵みと思うかい。 あんたはなんにも分かっちゃいない、隣のやつが死んだって、どうせ気付きやしない。目の前にいるのは、あんた自身なんだぜ。 最期はみんな、おんなじ所に還るのさ。

                              Dai

F9 SS1/100 ISO-400 -0.3EV 170㎜ PENTAX.K-1 SIGUMA.APO50-500

 三面川の河川敷公園には、鮭の自然産卵のための種川と呼ばれる分水路があって、そこでは実際に遡上した鮭が産卵をする様子が観察できる。

F6.3 SS1/320 ISO-800 0EV 370㎜ PENTAX.K-1 SIGUMA.APO50-500

 水深にして20cmとか…深くても50、60cmとか…。あちこち擦った身体の傷が、揺らめく水面の光に照らされて輝く。

F5.6 SS1/160 ISO-200 0EV 140㎜ PENTAX.K-1 SIGUMA.APO50-500

 どうしてそこまで大きな身体で無理をするのか…これも一重に新しく生まれてくる我が子の為だけ。とにかく浅い所なら、我が子が食べられる心配を可能な限りなくせる。

F6.3 SS1/250 ISO-800 0EV 290㎜ PENTAX.K-1 SIGUMA.APO50-500

 役目を終えた親たちは、その身を故郷の川に捧げ、命を終える。そして他の命の中に取り込まれ、その命がまた命を育み、終わる事のない生命の螺旋を描いていく。

 『死』があまりに遠くなり過ぎた現代の日本社会、縁起などと言う曖昧な言い訳に覆い隠して、だれもそれと向き合う事をしなくなった。そしてその役目を背負った者達の事など気にも留めない。

 死と命に対して傲慢にも似た態度を取る現代の日本人。その代償はきっと…。

イヨボヤ会館

イヨボヤ会館 – 日本で最初の鮭の博物館 (iyoboya.jp)

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