2025年3月、銃刀法の改正によってハーフライフル銃の所持許可要件が引き上げられました。これによってこれまではみなしで散弾銃の枠だったハーフライフルが、法律上ライフル銃として正式に定められ、それに伴って所謂10年ルール(散弾銃の所持歴が10年以上なければ所持許可を申請できない)が適用されるようになりました。
法改正に至った経緯に関してはここでは省きますが、その影響もあってか界隈では最近MSS-20への注目が高まっていました。
今回はそんな時代背景もあって、たまたま自分が2024年の秋から所持を開始したMSS-20がどんな銃なのかについて、どんな造りをしているのか、どうやって分解するのかなどコアな部分を中心に話してみようと思います。
◆MSS-20はスラッグガン。スラッグガンとはなんぞや?

まずは軽く前提知識になるんですが、MSS-20は日本の銃器メーカーのミロク製作所が製造販売する猟銃で、法律上も銃その物の構造もバッチリ【散弾銃】、つまりショットガンなんですが、この写真を見るとその形はまんまライフル銃のようになってますね。ミリタリー関連に詳しい人でも一瞬「え?これショットガンなの?」ってなります。
MSS-20はスラッグ弾(スラグ弾)と呼ばれる”単弾”を撃ち出すのに特化した銃種なんです。普通ショットガンと言ったら無数の粒を撃ち出して弾幕を張るのですが、こんな風にデカい一発弾を発射する事も可能なんです。もともとショットガン自体、獲物やシチュエーションによって選べる弾の種類が豊富で、銃本体に何もしなくても弾だけ変えれば対応ができる事が強みでもあります。ライフル銃では完全に決まった弾しか使えませんからね。

参考までに、左がMSS-20で撃てる20GAスラッグ弾の弾頭で、真ん中のビンに入っているのが一般的な散弾です。因みに一番右は12GAスラッグ弾の弾頭です。こうやって比べると12番デカいですね(汗)。いずれも不発弾になって処分した時に頭だけ譲ってもらいました。てかロットウェルのブリネッキ弾の不発弾出すぎ(汗)自分だけ?
ハーフライフルとは違い銃腔にはライフリングが切られていない
この銃の最大の特徴と言えるのが、銃腔(じゅうこう・銃身の内側)にライフリングが切られていない事ですね。ライフリングとは、発射された弾頭に回転を加える為の切り込みなんですが、これがあるか無いかでライフルか散弾銃かを判定しています。そんでこのライフリングが半分以下まで入っているものがハーフライフルとなっています。
先程もサラッと述べた通り、ライフルは決った弾種のみしか発射できません。ハーフライフルもサボット弾という専用の弾しか使用できません。対してこのMSS-20はスラッグ弾以外に散弾も発射できます。勿論大粒のダブルオーバック弾も発射できます。
余談ですが、もともとスラッグ弾というのは立てこもりなんかの事件現場で突入の際にドアをブチ破る為に使っているとか。
ライフリングが無くても高い命中精度を誇るのがMSS-20
一般的なショットガンでスラッグ弾を使用した際の有効射的距離が最大で50m程度となっています。12GAの大きな弾なら実際の命中精度を考えても30mくらいが実用範囲じゃないでしょうか。威力は凄まじいのですが、その分不安定なのは致し方ないですね。
今回規制の対象になったハーフライフルの有効射程距離が150mくらい。200mいける!と、よく聞きますがベストな実用レンジは150mくらいでしょう。
ではMSS-20はどうか。実用的な有効射程距離は100m程。フィールドでも射撃場でもやってみましたが150mでも十分実用できました。弾との相性にもよりましたが、ライフリング無しで100mが当てられるのは十分驚異的です。条件によってドロップに差は出ましたが、150mでも余裕で当てられました。集弾性も150mで20㎝くらいに収められました。ちょっと的紙捨てちゃったんでその辺の検証はまた今度でw。
身も蓋も無い話になりますが、ライフルの300WinMagで有効射程が600mオーバーだそうです。早く持てるようになりたい。。。
散弾銃の許可しか下りない条件で100mが射程範囲になっているのはフィールドでは強力なアドバンテージになるのではないでしょうか。
MSS-20に関する前提知識はここまでにして、実際の銃その物を詳しく弄ってみましょう。
◆一年目から所持できる高性能ハンティングガン

この記事に検索で辿り着いた方は、狩猟の為に初めて銃の所持許可申請を行おうとしている方。或いは上下二連銃は持っているが、四つ足狙いの実猟銃を検討している方なのではないでしょうか。
MSS-20が初心者向けかと言われれば、狩猟のスタイルが四つ足一択など明確になっていれば一年目の一挺目でも全然問題無いです。もちろん初心者にできるかどうかは別にしておきますが、ある程度遠くから狙える銃ですのでむしろ獲物との距離を取れる分安全も確保できると思います。
◆やはり載せたい光学照準器

この銃は光学照準器(スコープ)が載せられるように作られています。ただ、買っていきなり載せられるのではなく、いくつか部品を買いそろえる必要があります。新銃を買った場合、出荷時には照星と照門が付いていますが、スコープを乗せる場合はどちらも取り外します。
サバゲやり込んでいる方ならお馴染みなんですが、スコープ本体とは別にマウントベースとマウントリングが必要です。最近ではマウントリングに関してはスコープにセットで付いてくるものもありますね。
スコープの取り付けは【規格】に注意
スコープ関連の部品には規格がありまして、主に二つの規格が使用されるのですがその二つが【ピカティニーレール】と【ウィーバーレール】です。ピカティニーは軍用で、ウィーバーは昔ながらの猟銃規格といったところでしょうか。分かりやすく言うと、前者は太くて後者は細いです
マウントベースはMSS-20用の場合標準はウィーバーレールと言う規格になってます。新銃買う時になんか良いのありませんか?って感じでお任せ注文すると大体この規格のセットになると思います。自分のMSS-20は購入時ウィーバーレールに縦割りのマウントリングが付いていました。どちらも純正品です。色々考えてスコープの載せ方を変える為にピカティニーレールに変更しました。ピカティニーの方が普及率も高く拡張性も良かったので。
マウントリングはスコープのチューブの太さに注意
上の写真はピカティニーレールを取り付けて、1インチチューブのスコープを載せています。マウントリングも1インチです。
マウントリングはスコープ買うと大体セットでついてくる時代になりましたが、高級スコープは付いて来ない事も多いので注意です。
スコープのチューブ径は1インチ(25.4㎜)と30㎜があって、ピカティニーレールはどちらも載せられますが、ウィーバーは30㎜は載せられませんので注意です。
ピカティニーはハイマウント、ウィーバーはローマウントになりやすい
純正デザイン的にはMSS-20はスコープがローマウントになるようになっています。なんでかって言うと、スラッグガンなので遠矢の時に弾が落ちる際に、スコープから見てローマウントの方がドロップの調整幅が少なくてすむのが利点なのですが、スコープの前玉がデカいと銃身本体に干渉する難点がありました。ウィーバー規格では1インチチューブの対物レンズ40㎜で銃身との隙間が2㎜くらいになってしまいました(汗)。
さすがにリコイルで接触している痕跡は無かったのですが、撃つにつれて照準が狂ってくる現象が見られたのでやむなくマウントシステムを変更しました(汗)変更後に30発試射してその現象は無くなりました。
ピカティニーのマウントリングにも勿論ローマウントはあるのですが、どうしてもウィーバーよりやや高くなるようですね。自分の銃は銃床がチークピースになっているモデルなので、このマウントだとさすがに多少顔が立ちますが、頬付けそのものはちゃんとできるので射撃のスコアに影響は無かったです。
どうしても気になる方は、ウィーバーマウントで、対物レンズがチューブ径のままのモデルのスコープがおススメです。ズーム倍率は稼げなくなりますが、重量は削れるしデザインは渋いし良いと思いますよ!
◆分解はネジ二本でとても簡単
愛銃を末永く使う為にはやはり整備性の良し悪しは欠かせないですよね。自動銃なんかはそれなりに分解しようと思うと結構複雑な構造していたり、安易に分解すると組付けるのにコツが必要だったりする部品があったりします。上下二連銃なんかは比較的簡単に分解できますね。
MSS-20は猟銃の中でも分解整備はかなりしやすい方ではないでしょうか。ボルトを抜いて台木と銃身を離すのに、ネジ二本を外すだけでできてしまうので非常に簡単です。
弾倉側のネジ

MSS-20は弾倉が切り離せない構造になっているのですが、ラッチの丁番の所を止めているネジが、銃身も共通で固定しているのです。
用心金の根元のネジ

もう一方は用心金の根元にあるネジです。ここを外すと、引き金ごと銃身を取り外すかたちになります。用心金は台木に固定されているのでこのままです。
ここを外すと銃身側に、何やら小さなプレート状の部品がありますが、これは板バネみたいになって台木と引き金部分がガタつかないように安定させている部品のようです。分解の際は無くさないように気を付けましょう。

分解した様子です。スコープが載っている場合は載ったまま離せます。
ガンロッカーが高さの低いクローゼットタイプとかだと、保管の際はいちいち分解しないと入らない事が多いです。スコープを載せたまま分解できるので

スコープがやや後ろに飛び出しているのでそこから計ると。

銃口部分では890㎜そこそことなりました。
背の低いロッカーではまっすぐ縦に入らない事が多いでしょう。三挺保管用とかの幅なら斜めにすればなんとか入ります。もし保管庫が背の低いタイプなら、今一度しっかり寸法を確認しておきたいですね。
◆実包の装填と装弾数
MSS-20の装弾数は、薬室に一個と弾倉に一個の計二個です。めっちゃ少な!。
同じ20番でもハーフライフルとなると、弾倉に二個装填できるのでこの点はちょいと不利な感じがしますね。

弾倉に弾を込めるとこんな感じ。薬室にスムーズに送り込めるように実包の前方が上を向いています。
弾倉から弾を込めても良いし、薬室に込めてから弾倉を開けて込めてもどちらでも良いのですが、やはり今一つ不便な感じが拭えないですね。。。人によっては村田銃のように上から一発込めしてる方もおられるようです。
上から二発とも装填することは可能
弾倉の開け閉めがあまりにもなんか良くないので自分は、ボルトを引いて上から二発とも装填しています。

一発目は上からマガジンの中に押し込みます。結構簡単にハマるので、二、三回練習すればすぐにできるようになりますよ。

二発目が少々コツが必要になります。弾倉側に押し込んだ弾を押し下げて、そのまま薬室側にスライドさせるのですが、この時完全に薬室にハメこんではいけません。かと言ってあまりに後ろすぎると、ボルトが上手くリムをとらえない感じになってジャムります。
イメージ的にはクリップマガジンで装填するような。あれメッチャカッコいいですよね!いつか実銃でやってみたいです。何度か練習すれば必ず上手くできるようになります!
◆ボルトのコッキングとデコッキング
猟銃は使用が終わったら撃鉄を落としておきたいですよね。うっかりカラ撃ちとかすると撃針が折れてしまったり、そんなもの比じゃないくらいコワイ事故を起こしてしまうかもしれないので、安全の為にも撃鉄は落としたいです。
いつも使っていた上下二連銃の場合、ダミーカートで空撃ちしたらそのまま銃を分解してしまえばよかったのですが、ボルトアクションの場合空撃ちしてもボルトを抜く時に再度コッキングしてしまいます。これは構造上どうしようも無いのですが、その為かボルト本体を手で捻る事でバネを伸ばす事ができるようになっています。これを【デコッキング】と言います。
銃を使用する時にはまた捻って戻す事で、銃身にセットできるようになります。これをコッキングと言います。
コッキング状態

これは撃針を叩ける状態。バネが圧縮されているので、将来的なバネのヘタりや、不意の誤作動を防止したいならデコッキングした方が良いと思いますね。
デコッキング状態

ボルトの本体を握って、画像の黒とシルバーの部分をひねるとデコッキングできます。ただ、この状態のまま銃身に込める事ができないので、組み立てる時は同じようにひねってコッキング状態にしてから組み立てます。
◆一般的な散弾銃には無い、唯一無二の魅力
散弾銃、つまりショットガンと言えば、銃身の下側についている遊底をスライドさせるポンプアクションの物をイメージする人が多いと思いますし、実際自分の猟友もポンプアクションを好んで使用しています。いかにもショットガン…って感じでアクションが派手でカッコよく、これを日本で使える事の特別感は何ものにも代えられないと思います。
そんな中にあってこのMSS-20は、また別の魅力を持っています。日本ではライフル銃に関しては所持歴10年を満たして初めて許可申請が可能になる法律があります。
ボルトアクション…研ぎ澄まされた装填の動作に、息が詰まるような緊張感を漂わせるのはポンプアクションにはマネできない所作でしょう。これが所持歴0年から申請が可能なのは、新米ハンターが山奥の現場で感性を磨いていくうえで大きなアドバンテージになるのではないかと思います。
今回は久しぶりのブログ投稿でMSS-20を語ってみましたが、一番伝えたかった事は【道具としての銃の魅力】でした。銃はあくまで道具。もしこの記事を見て『この銃なら自分のスタイルに合いそう』って思って貰えたら幸いです。











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