人はなぜ写真を撮るのか?と、いう哲学的なギモンの持ち方をする必要はありませんw。写真を撮る理由は基本的に【目の前の感動を残したい】気持ちがあるからだと思います。
感動の形は様々です。風景や色、動きや状態、形や流れなど。そこに光と影のバランスがマッチするとなお、人の心を動かす事でしょう。
でも自分で撮った写真を見返して時々こんな事思いませんか?『…なんかイマイチ撮った時の感動が蘇らない…』と。
一枚の写真で一瞬の感動を伝える、或いは残すのって、実は結構難易度の高い表現方法だったりするんです。【写真は引き算】とよく言いますが、引き算した結果『こんな感じじゃなかった…』みたいになったりする事もあります。
勿論それって、被写体の何に感動したのか明確ではなかった事が根本的な原因だったりするのですが、心から溢れた感動を表現するのに引き算だけではなかなか伝えられない。そこで今回は、写真で感動を伝える表現方法の一つとして【組み写真】を考えていきたいと思います。
◆一枚では伝えきれない気持ちを組み写真でストーリー化する
●そもそも組み写真ってどんなもの?
ではまず初めに組み写真とはなんぞやから簡単にお話していきます。
組み写真とは、2枚以上でなる複数枚の写真で構成される表現方法の一つで、基本的には順番に配列する事で一枚の写真では伝えきれないストーリーを表現する方法の事を言います。4枚で表現される事が多いですが、3枚でも勿論良いですし、なんなら20枚くらいでも構わないわけです。
近頃写真雑誌やコンテストを見ると、ある被写体のコマ送りのような展開で組み写真を構成する事が多いように思います。元々はジャーナリズム的に使用されていた手法だそうなので、短い時間の流れを写真で伝えるにはそんな風にコマ送り的に構成した方がより伝わると思います。
ですが組み写真の表現はそれに限らず、もっとタイムスパンの長い4枚で構成するのも良いです。例えばあるスポットの一日を早朝~日中~夕暮れ~深夜に分けて撮影して構成するのも良いですね^^。そのような手法で棚田を定点カメラで撮影したり、街のごく狭い範囲でポイントを変えてその街の一日を表現したりなんかも面白そうです。
●まずは簡単に組み写真を作ってみよう!
百聞は一見に如かず、まずは思うままに写真を組んでみましょう。
自宅の夏の夕暮れのシーンを4枚の組み写真で表現してみました。全て玄関から半径10m以内のポイントで撮影したものです。
一日の仕事を終えて帰宅する時間。夏は陽が高く、一日の終わりと言うにはなんだか早い感じがしますね。遠くへは行かなけど、少し散歩してみた感じです。ポイントは夕日に向かって撮っているところなのですが、4枚目を敢えて順光にする事でストーリーの終わりを表現しました。
四枚の写真を眺めて思うようにストーリーを想像してみて下さると嬉しいです^^
●組み写真の表現は自由!理屈よりも感覚で写真を並べてみよう!
こういうのって、上手くこなそうとするとどうしても思考が理屈っぽくなってしまいがちです。確かにコンテストで入選するような作品には、写真家がある程度法則に則って構成していたりしますが、表現する事の基本は自分の気持ちそのものから始まるのです。設定だの構図だの時系列だのは後回しで良いですし、多分、数こなしていく内に自然とできるようになっていると思います。
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カメラを持って出かける段階から『今日は組み写真でストーリーを表現してみよう』という事を意識して撮り溜めてみました。過去に撮り溜めたものの中から組んでも良いのかなと思ったのですが、まずはなるべく流れが滑らかな組み写真を作ってみたいと思います。
●まずは簡単に街歩きで思うままに撮ったものを組んでみた
ちょうど街に出かける用事があったので、ついでにカメラを片手に散歩しながら撮ってみました。特に目的が無い散歩だったので組み写真としてストーリー表現が成り立つかどうか疑問でしたが、一先ず難しい事は後回しにしました^^;。
ビルが立ち並ぶような街中を歩くと、何の気なしに上を見上げる事ってあると思うんです。あれ、何の気なしだから見上げている事すら覚えていないか。
モノクロも味がある
ある雨の日の明け方の新潟駅です。まだ早い時間なので人も車もまばらで、周辺も静かなもんでした。
静けさと始発前の空気感が伝わりますか?。実はまだ平日で、一日が始まる直前を表現しています。なんとなく侘しさがあるというか、繰り返す毎日の気怠さを表現する為にモノクロで撮ってみました。
モノクロの組み写真もなかなか味がありますね。モノクロ仕上げでテーマをしっかり絞り込むと、結構良い作品作りができるかもしれません^^。
●情報量の少ない風景写真も、組み写真でストーリーを表現できるか
風景写真は基本的に一枚で全てを伝えるのが基本ですね。見れば誰でも良さが伝わるのが風景写真の良い所なのですが、それを組み写真にしてみるとどんな感じで伝わるのか考察してみました。
見慣れた港の風景なのですが、港と言えば日々海仕事の為に船出があります。出る人も居ればそれを見送る人も居るワケで、そんなストーリーを表現できるように組んでみました。
改めて見直してみると、現場であんまり考えすぎたのかな~…なんて思いましたが^^;、それでも我ながら上出来なように感じますw。多くの情報を入れる事は簡単なのですが、それだと見た人の想像力を邪魔してしまうかも知れないので、やっぱりなるべくシンプルに構成するのが良いようですね。
港の日常風景を表現するにあたってもっとも重要な『人』という要素が無いのがこの組み写真のポイントです。人物が写っていない事で人物をイメージできるように構成できたら、この組み写真は勝ちだったかもしれませんね。
●【音・風・香り】写真には無い情報を組み写真で最大限表現できるのか?
写真が伝えられる情報は基本的に見たままの状態だけです。それ以外の動的な情報を伝える事は出来ないのが普通です。中には秀逸な表現でそれ以上の情報を見た人に伝える写真もありますが、自分のようなアマチュアでは難しい事です。
そして何より写真は引き算と言われるように、何かを伝えようとしてあまり多くの情報を入れ込むとかえって伝えたい事が伝わらなくなる性質があります。モドカシイですよね^^;。
そこで写真一枚当たりで伝えきれなかった情報を組み写真という形で情報量を増やして伝える事を目指してみました。
田舎の夏の風景って、老若男女だれでも似たような記憶というか、経験的記憶そのものは無くともイメージはできるというか、もうこれは日本人のDNAに刻まれて受け継がれてきたもがあると思うんです。
動画で伝えるのは非常に簡単なのですが、こうやって写真にすると見た人がそれぞれ自分の胸の中にある記憶や感覚を自由に思い起こせます。それこそが写真を見てもらう事の一番の冥利と思うんです。
ですが自分の写真は一枚でバチっとそれを伝える力がありません。ですがこうやって組み写真を構成するとどうでしょうか?。夏の風が枝葉を揺らし、遠くから香りを運んでくるのが伝わるでしょうか。
勿論どんな音だったとか、どんな香りだったとか、具体的な話は余計な情報なので言う必要はありませんね。どうか思い思いに想像してみて欲しいです^^。
●表現の幅を広げる事は、自分自身の世界を広げる事にもつながる
写真には沢山の表現方法があります。組み写真はその一つです。
SNSで人気の写真家さん達を見ていても、独自の色や構図でブレない表現をしている他に組み写真を手法として取り入れたりしている事はよくあります。
しかもそこは現代の写真家さん。敢えてそれと分からない、くらいさりげなく取り入れている所に溢れるセンスを感じます。
【組み写真】は映像でも写真でもない形でストーリーを紡ぐ手法です。是非あなたのストーリーを思うままに描いてみて下さい^^。
いつも自分が愛用しているカメラは主にこの2機種です。PENTAX・K-1はフルサイズセンサー一眼レフ機でありながら、筐体はコンパクトで新品も中古も比較的買いやすい価格で流通しています。レンズの種類も豊富で、Kマウントならずっと昔のオールドレンズも現役で使用可能な所が魅力ですね^^。
とは言えカメラはそれなりに大きな買い物、アフターサービスもあって信頼できる専門店が安心です!。
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